明日の日向を探す(改訂)

空き缶文学

プロローグ

 道路を走る細い車輪と太い車輪。

 いくつも回転して、荒い吐息と一緒に迫る。

 遠くから覗いていた少女は呼吸を忘れ、感情までも抑え込んだ……――。





 少女は目を覚ました。

 田舎町の古くから建つ家々と夏。

 天井を数秒目視した後、ゆっくり布団から起き上がる。

 軽く汗ばんだパジャマを脱ぎ、キャミソールに学校指定のセーラー服を着る。

 ロブヘアの黒髪に触れ、寝ぐせを指先でなぞった。


 玄関の隅にデイサービス用のリュック、『デイに行く日』と油性ペンで書かれたA4用紙が上に置かれている。


 カレンダーは7月、明後日を見たあと少女はスニーカーにゆっくりつま先から差し込む。

 かかと紐を摘まんで深く履いた。

 少女は前を向く。

 砂利とレールが擦れる音を立てながら扉を開ける……――。

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