❙:屈辱的でした
ろいね
第1話
||『女性専用車 woman only』に映る自分の顔------
この区間を移動する場合は女性専用車の
設定は無いので乗れるが知ってる人が少ない為に
視線を感じている、その分知識が曖昧な人が多いのであんまり乗っている人が居ない。
寝癖が気になる。
先程、乗り継ぎをする際に車両までの道で
乗り継ぎを目的とした人達で溢れ返る場面に
とても胸を躍らせていた。
マスクの紐が大きめの為、
後ろに青い紐で括っている人物等で
公共の場が埋め尽くされていて
その中に私も埋まっていると思えば
流れる血液が黒く濁っていくイメージが
頭の中を廻ってたまらない。
たまらなく良い。
乗り込んでから気になる物といえば
イヤホンからの音ぐらいだ。
音が大き過ぎて音漏れしていないかとか
そういう事ばかり考えている。
「お菓子を持ったおばさん」が
前の座席の取っ手に手持ち鞄を掛けていた。
その「鞄を掛けたおばさん」が
眼をあわせた。
茶色と黒のグラーデションのサングラスの奥に
歳をとった瞼を覗かせた。
だが笑みがどこかしら若らしかった。
その笑顔より私は劣っていた。遅れをとっていた。
凝縮感が凝縮された。
一礼して電車を降りた。
❙:屈辱的でした ろいね @orale_kuro
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