第20話 絵本が好きなユリナさん
ああぁ・・・私のスキな絵本たちが、捨てられてゆく・・・
ユリナさんはすっかりハートブレイクです。もう泣きそうでした。
ノンタン・・・たくさんあったノンタン・・・やっぱり永久保存版じゃないの??
ぐりとぐらの黄色いホットケーキは永遠の憧れではないの??
そしてユリナさんは気付きました。お子さんのために絵本を買っていたというより、お子さんの存在にかこつけて、ユリナさんが好きな絵本を買っていたのだと。
若い頃のユリナさんは、自分のために絵本を買うことはしませんでした。
ですがケントさんが生まれて、ユリナさんはたくさん絵本を買いました。子どもがいるから、絵本がたくさんあるといいよね。情緒や教育にも良いものだから。
そんなつもりで買っていましたが、マリちゃんがその絵本たちを捨てようとした時、絵本が欲しかったのは、実はユリナさんだったことに気付かされたのです。
そっか・・・絵本が欲しかったのは、私だったんだ・・・
ユリナさんは、気付かずにいた自分の本心を知り、切ない気持ちになりました。
「絵本は、おかあさんが好きなのもあるから、それは捨てないから。」
ユリナさんはマリちゃんに言いました。
「え~、でも、読まないんじゃないの?」
「捨てたくないものは捨てなくていいの。」
ユリナさんは主張しました。日頃から捨て活推奨していたのにブレブレです。
ユリナさんが特に好きな絵本もありました。
「うっかりペネロペ」は大好きなシリーズです。
初めてその絵を目にしたときは衝撃でした。こんな、絵画のような絵で動物のキャラクターなんて反則、反則でしょう?
ひと昔前はテレビアニメもあって、ユリナさんは録画していました。ペネロペ、コアラの女の子はど天然で四六時中ボケを連発します。なにかと悪さをしようと企んでいて、ろくでもない子ですがユリナさんは好きでした。
同じ作者さんで「リサとガスパール」の方が先に人気になっていたと思います。「ペネロペ」ほどではないものの、リサガスシリーズもやっぱり絵は好きなので捨てない袋へ入れました。
ユリナさんの捨てない本たち、ペネロペ、リサガス、新オバQ、英語バージョンのミッフィーちゃん・・・紙袋2つ分、死守しました。
マリちゃんテリトリーの和室の押し入れはせっかくマリちゃんがスペースを作ったので、ユリナさんが守った絵本は寝室の本棚へ入れました。
ユリナさんも、寝室の本棚の本をいくらか処分しましたよ。
「マリちゃん、ずいぶん捨てるね。」
マリちゃんの捨てっぷりを見て、お兄ちゃんのケントさんが言いました。
絵本はケントさんにも思い入れがあるかもしれない。マンガも、でんぢゃらすじーさんもマリちゃんが勝手にこんなに捨てていいわけじゃなくない?マリちゃんは良くてもケントさんは捨てるのを嫌がったりしないかな?と淡い気持ちを抱いたユリナさん。
「ケントさん、こんなに捨てちゃって大丈夫?捨てたくないものはなかった?」
ユリナさんは尋ねました。
「なくなるのは少し淋しいけど、押し入れも綺麗になったし仕方ないかな。」
もっともな返事をするケントさん。
ああ、日頃から捨て活推奨していますから、ケントさんもちゃんと捨てられるように成長しています。ユリナさんの教育の賜物ですね・・・(複雑)
マリちゃん、すべてのマンガや絵本を捨てたわけではありません。マリちゃんの最近お気に入りのマンガと、絵本は「ミッケ!」、「おしり探偵」、ヨシタケシンスケ氏のものは綺麗に並べられています。
そう、マリちゃんが欲しいと言って買った絵本は残すのよね。ユリナさんが好きで買った「ノンタン」や「ぐりとぐら」等々は捨てるけど・・・
好きだったものを捨てるのは悲しいことでしたが、お子さん達の成長を感じたユリナさんでした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます