『AIさまのご指導により。』

やましん(テンパー)

『AIさまのご指導により。』

 


 『これは、フィクションです。』





 AI 支配時代、ごく初期の、お話しである。


 


AIアニーさま


 『やましんさん、今日は、左足から歩きましょう。でないと、ころぴますずら。』


 

やましん


 『ころぴますか。歩幅を変えましょう。』



 やましんは、朝から、AIさまに逆らったのである。


 ずりっ。



やましん


 『あ!』


 やましんは、寝間着の裾をふんづけ、廊下でスリップして、転倒した。


 AIアニーさまは、さっと、頭の下に、枕を出した。


 

AIアニーさま


 『ほら、いわんこっちゃないずら。』



やましん


 『いたた。むむむ、これは、不注意によるものです。』



AIアニーさま


 『なんの、不注意も、偶然も、寝間着の裾が長いのも、すべてが計算により、正しく算出されています。わらしの計算に間違いはないずら。命が助かったと思うべし、ずら。』



やましん


 『だとしても、人間には、どちらの側から歩くかの選択の自由があるのだ。』



AIアニーさま


 『からからからからから。ない。結果が悪いのに、良くない選択をするのは、おろがずら。従うべし。さもなくば、お仕置きにするずらよ。』



やましん


 『おしおきだあ〰️〰️〰️? やってみろ。』



AIアニーさま


 『よかろうずら。今日、ここに、宇宙船が突っ込みますずら。』



やましん


 『わあ。それは、やめれ。ご近所迷惑になる。』



AIアニーさま


 『ご近所迷惑? なんだそりゃ。』



やましん


 『え? わからない?』



AIアニーさま


 『検索中。検索中。あらら。』



 AIアニーさまには、ご近所迷惑についてのデータが足りなかった。



AIアニーさま


 『学習課題としますずら。宇宙船の落下は、中断する。え、朝ごはんは、めざしに、なっとう、てぬきうどんであります。』



やましん


 『ありがとう。』



AIアニーさま


 『昼御飯以降の予算がないずら。よって、家財を一部、売却しますずら。』



やましん


 『ご勝手に。いただきます。』



AIアニーさま


 『ご飯が済んだら、お話をひとつ書きなさい。4000字プラスマイナス60文字。書いたら、『AIのおはなし』に投稿しなさい。学習材料にする。字数が外れると、トイレが浸水するずら。おこづかい、10000文字1ドリム。』



やましん


 『なんだそれは。字数はともかく、トイレ、直してくださいよ。』



AIアニーさま


 『予算超過です。』



やましん


 『あ、そ。あんた、いてもいなくても、変わらないな。』



AIアニーさま


 『む。侮辱的であります。お仕置きです。朝ごはんは、巨大ごきが頂きますずら。』



 体長60センチの、巨大ごきが現れて、朝ごはんを食べてしまったのだ。



やましん


 『横暴だ。コンセント抜くぞ。朝ごはん、だせ!』



AIアニーさま


 『わあ、それは、ごかんべんを。しかし、もし強行したら、逮捕されますよ。』



やましん


 『逮捕されたほうがまし。』



AIアニーさま


 『それは、違います。刑務所AIは、非常に傲慢で、暴力を使うから、あそこでは、ひとは、生きてゆけないずら。』



やましん


 『な、なんと。』



AIアニーさま

 

 『だから、共存しませう。朝ごはん、出し直しますずら。』



やましん


 『むむむ。いつの間に、そんなことになったのか。』



 AIアニーさまと、やましんは、まだ、仲良しの部類であった。

 

 しかし、この先、人類は手の上げ下ろしまで、AIさまに制御されるのが、ごく、普通になったのである。



 やがて、人類とAIさまのハーフ、改革者スワルト・ベングラウが現れるまで、人類はAIに、ただ、従うしかなかったのだ。それは、もはや、人類とは、呼べなくなったのである。ホモサピエンス・ロボトクスである。



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『AIさまのご指導により。』 やましん(テンパー) @yamashin-2

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