第17話 第178回 最強吸血鬼と愉快な仲間たちによる日本征服会議
「第178回! 最強吸血鬼と愉快な仲間たちによる日本征服会議を行う!!!」
バンッと、ルナがちゃぶ台を叩いた。
鼻息を荒くするルナをよそに、能丸は堵々子に質問する。
「そんなにたくさん会議してるんですか?」
「いやぁ? たぶんアタシも今日初めてだね」
「えぇ……」
バイト帰りに強制招集された能丸は、早く帰りたいなぁというのが顔に出ている。
それに気づくことなくルナは続ける。
「というわけで、愉快な仲間たちよ。案出ししていくのじゃ」
最悪の上司みたいな要求をするルナ。
「そんな急に言われても、ぜーんぜん思いつかんね」
堵々子がまっとうな反応を返すと、ルナは遮るように言う。
「しゃ~らっぷ!! できないというのは嘘吐きの言葉なんじゃと、魔界インターネットで教わったぞ!」
(ルナさん、学ぶ場所間違えてるよ……)と内心でげんなりする能丸。
そんな能丸をピッと指さすルナ。
「んじゃあ、次は能丸! 答えよ!」
「え、私も思いつかないかな……」
「カァ~! そんなことでは、日本征服など夢のまた夢じゃぞ!」
やれやれと頭を振るルナ。
「うう、そんなこと言われても……そういえば、ルナさん。どうして日本征服なの? 世界征服じゃなくて」
能丸は、ふと疑問に思ったことを尋ねる。
「……っ!? それはまあ……手堅いところからやっていこうみたいな、そういうアレじゃ……」
急にトーンが下がるルナ。
「でもルナちゃんこの前、マリラって子が迎えに来るのを待つみたいなこと言ってなかったかい?」
堵々子も、思い出したようにルナに問いかけた。
「は、はぁ!? おい、堵々子! ま~たボケてるじゃろ! おぬしはも~、まったく。アンデッドな上に後期高齢者じゃからなぁ~ボケるのも仕方ないかのう。ホントしょうがないわい」
汗をドバドバ流しつつルナは答えた。
「ありゃ? そうだったかい? たしか11話辺りで、マリラちゃんって子に迎えに来てもらうのを待つって、ルナちゃん言ってた気がするんだけどね。悪い悪い! 勘違いっぽいわ!」
「……………………t……」
次元を超越した詳しい説明に黙り込んでしまうルナ。
「……えっと、ルナさん。もしかして見栄、張っちゃった……?」
能丸が、できるだけやさしく尋ねる。すると
「んもおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
ルナは突然発狂した。
「ル、ルナさん!?」
「そうじゃわい!! 見栄張ったわい! 新しい部下が来たから、ええカッコしようとしたんじゃい! 悪いんかい!! おおん!?」
美しいまでの逆切れである。
「い、いや……そうなのかなって聞いただけだから。ごめんね?」
「謝られるのが一番きついんじゃい!!! こっちは繊細なんじゃい!!」
「えぇ……」
どうしろというのか? 困惑する能丸。
まだルナの逆上は続く。
「せっかく嘘を見抜かれんために、世界征服からランクを下げて『まあ日本征服くらいならルナ様がいくら弱体化してても余裕ね!』って思われるようにしたのに! リアリティ上げたのに!」
畳の上でどったんばったん大騒ぎするルナ。
落ち着かせようと能丸がフォローする。
「だ、大丈夫だよ! 世界征服も日本征服も、全然リアリティないから心配しなくていいよ!」
「全然フォローになってないじゃろがい、それ!!」
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