雛禽の空棋 ―꒰ঌℍ𝕚𝕟𝕒𝕕𝕠𝕣𝕚 𝕟𝕠 𝕊𝕠𝕣𝕒𝕘𝕚໒꒱―
鳥兎子 𓅫
第一羽໒꒱ 黎明への孵化
拝啓 空知らぬ君へ
私も、君と同じ夢を見たことがあります。
翼が欲しいかと問われれば、頷きました。
『空虚』に眠れる君は、どうか墜ちないで。
自分の肌で感じる気流に凍えても
墜ちる最中、翼を断つことは出来ない。
血が生きたいと沸騰するのを後悔する前に、
今すぐ、
――生まれてもいいの?
答えはなかった。殻を割れるのは自分だけだ。心音に眠っていたかったと愚図りたいのに、柔い翼が窮屈で疼く。膝を抱えるのを止めて、卵殻膜の中で目を開けると……ぼんやりとした光がおいで、と誘う。
拳で何度も思い切り叩いて、殻を割る! 外へ伸ばした
「……誰? 」
「孵化したてで喋るのか。
彼の濃藍の髪が靡けば、群青に艷めく。垣間見えた額から、
「だから、誰って聞いてるんだけど」
「私の駒名は〖
「僕の名前は
「『
✼•攻〖
朝の陽で燃えかけの黎明の空を切り裂くように、一対の流星が凪いだ海へ墜ちていく。
「この、クソ姉貴が! さっさと【
「私は、私を生かしてくれた仲間を殺せない。
「あっそ……また俺を裏切るのか、
墜落する
「俺を選ばないなら、殺すだけだ。最期まで……ウザってぇ、約束破りのお節介焼きをな! 」
咆哮した少年は、柳葉刀で少女の胸を斬り裂く!
✼•勝〖
•┈敗北者:【
「あれが私達の戦だ、
「【
「その場合は、この一手が無かった事になる。〖
「全然分かんないよ、
墜ちていく
「無駄です。孵化したてでは、まだ飛べない。それに、【
僕の肩に着物を掛けたのは、淡い憐憫に睫毛を伏せた
「やってみなくちゃ分からない! 」
「現実を見ろ、
✼•攻【
〖陽ノ天守閣〗へ舞い降りた流星は……
「
「
二閃の
「
「
「偽るな!
✼•負【
•┈敗北者:【
「
敗北したはずの
「ならば答えて。何故、見かけぬ
「やはり ……〖
「全く……肝を冷やしましたよ」
「
「
決闘の終結を見届けた
「答えて、
「
「『支配』?『王の器』? そんなの知らないよ。……誰かの声を、卵の中で聞いていたような気がするけれど」
「それは、誰だ」
「分かんない……けど、女の人の声だった気がする。優しい慈愛と
「恐らく、彼女は……」
「来い。私の知る彼女を教えてやろう」
慌てて着いて行こうとした僕は、羽織った着物の裾を踏んづけて、ペシリと突っ伏してしまう! ……鼻頭がイタイ、非常に間抜けだ。
「……まだ雛だったな」
笑われるかと思ったのに……(実際に
「ありがと。優しいんだね」
「……気にする事は無い。行き場の無い雛禽を守るのは、王の役目だ」
僕が孵化出来たのは、
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