ジャンルあべこべ短編集
杉花粉
第1話 逆さ夢
俺には昔から変な夢を見る時がある。
まぁ大抵夢というものは無軌道で前後の繋がりがあやふやの目が覚めて疑問符が浮かぶ様なのばかりだと思うが、それでも特に可笑しく夢の中で意識を感じる時があるのだ。
それを指して変だと俺は定義している。
最初に気付いたのは中学の頃、窓から差す日光とそれに照らされる湯気の立つ飯がポンと置いてある夢を見た時である。
その日帰って来て腹が減ったので親に用意はあるかと問うと、親戚が亡くなったとかで忙しく家を発つ準備をしておりそんなものは後だと怒鳴られた。
結局その日腹を空かせたまま日を跨ぐ事になる。
次に見たのは俺がボールを人に投げつけて高笑いしている夢。
その日は海に遊びに来ていて、海の家で友人と食事を取っていると突然黒く日焼けしたおばさんに話しかけられた。
その手には一杯のウニを抱えており、何故か俺に渡さなきゃいけない気がすると言ってそれを受け取った。果てしなく困惑した。
最初の夢は朝日に飯。現実では夜に飯無し。
二つ目の夢は笑ってボールを投げつける。困惑しつつ人からウニを貰う。
逆さなのだ。夢と現実で起きる事が。
その後にも猫に噛みつかれる夢が犬に懐かれ舐められるになり。首を吊る夢が首に物が落ちるのを目撃するというのに変わったり。
最近ではもう慣れつつあったのだが、それでも今日見たものは強烈だった。
俺が真ん中に立ち周囲には人がごった返している。
そして全員笑顔で四角い箱の色とりどりなプレゼントを差し出すのだ。
……俺は何が起きるのか怖くて仕方がない。
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