マッドサイエンティスト

 一方その頃、魔王城では__

 コウモリが魔王の部屋に入り、そのコウモリは赤い瞳に鋭い犬歯を持った小柄な男、吸血鬼ヴァンパイアに変化した。

 「魔王様ぁ!」

 「ん?なんだ、どうした。補佐、ウィリアム32世」

 「幹部、『岩の魔神』と連絡が取れないのです!」

 「何?」

 「はい。ここからものすごく離れている採掘場に行ったきりなのです!」

 「そうか。ハーラー、シャイン、ライネルを集めろ」

 「しょ、承知しましたぁ!」

 そして、緊急会議が始まった。

 「これより、会議を始める」

 「魔王様、今回は何の用で?」

 「幹部、マルティオスが死んだ。恐らくな」

 「ほう。あの岩男が」

 「やっぱり死んだじゃないの。私の読み通りね」

 「ケケケ、ハーラー!後でシャインと俺に賭けたゴールドを払えよ」

 「今はギャンブルの話をしているのではない」

 「申し訳ありません。魔王様」

 「それより、偵察隊隊長、透明人間のエジルが勇者達を見たと先ほど連絡が入りました」

 「ほう」

 「どうやら奴らは例の男・・・がいる村の方向に行ったようです」

 「そうか。では、奴にはこちらから連絡しておく」

 「承知しました」

 これで、会議は終わった。

 そして、魔王ジェミーは空間に穴を空け、とある男を写した。

 「ミハイル」

 「お、魔王様」

 そこにいたのは、白衣を着た白髪の中年男。しかも、目の焦点は薬物を使ったのか、合っていなかった。

 「どうやら例の勇者達がこっちの方面に向かうらしい」

 「そうですか。では、この天才科学者、ミハイル・マッドが作った発明品で、奴らを死に至らしめましょう」

 「そうか。私が直々にスカウトした甲斐があった」

 そして、空間の穴を埋め、ジェミーは笑った。

 「ククククク……ハッハッハッ!」

 その笑いは、魔王城に響いた。

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