第20話俺の一張羅!
あの後俺たち攻略隊は数ヶ月かけていくつかのダンジョンを周り、そこで必要なアイテムだけを回収して周り、そして今日は俺が集めようとしていたアイテムが集まった記念で、あれ以来外に出るのが怖くなり引きこもりがちになったキール王子の元へと向かう事になった。
「アクトよ……本当にその格好で行くつもりか?」
「ええ、その通りです父上。今回は王子のお見舞いに行くのですから、王子も1度だけですが手伝って頂いたので、その成果を見せるのは当然でしょう」
「……だがなアクトよ。せめてそれらを身につけていくのではなく、持って行って見せるだけではいかんのか?」
「いやいや父上何を言い出すかと思えば、装備はしっかりと装備しないと意味が無いんですよ?」
「いやだがな……」
「いいじゃないですか!あ、もう時間なので俺もう行きますね!」
「あ、おい!アクト!せめてローブかマントとかの体を隠せる物を着てからいけよ!」
そう言われた俺は、体がすっぽりと収まるサイズのローブを着て、玄関で待っていたユウリとシャロと共に王城へと向かった。
「アクト様……頭のそれって事は、もしかしてそのローブの中ってもしかして?」
「ああ」
「そ、そうですか……」
そう言うとユウリは乾いた笑いを浮かべた。
「お兄様!お兄様!実はシャロも着て来たんですよ!」
そう言ってシャーロットはガバリと服を捲ると、その中にはダンジョン産アイテムの下半身がかなり際どい黒を基調としたチャイナ服を着込んでおり、アクトに見せる様にチャイナ服の隙間から生足を覗かせた。
「こら!シャロ無闇に足を出すのは、はしたないぞ!父上がよく言っていたぞ」
「それってシャロにじゃなくて、お兄様の筋肉質な足をメイド服から出してたからじゃないですか?」
「くっ!それはそうだが……だけどそれは男も女も変わらんだろ!な、ユウリ!」
そう声をかけられたユウリは、まさか家の中でもあの服を着ていると分かり普通に引いていた。
そんな事を話していると馬車は王城へと無事に着いた。
「よし我が隊員の元へと行くか!」
俺は馬車を降りる際にローブを馬車の中へと脱ぎ捨てると、チャイナ服姿のシャロといつもの服装なユウリとで、王城の中にあるキール王子の部屋へと歩いて向かった。
その際周りの人物達がギョッとした様な顔でこちらを見たり、笑いそうになったところを俺達の顔を見て公爵家の長男長女に、その婚約者である伯爵家の一人娘だと分かると、笑いを我慢する為に自分の膝などをつねり我慢する者達もいた。
そんな事を俺達は一切気にせずに王子の部屋の扉の前についた。
「おーいキール王子!遊びに来たぞ!」
そう言って扉をノックをしたが返事は帰って来なかった。
「返事が無いな……」
「どうしたんですかねお兄様?」
「いえ、原因は絶対にあの"触手"の件のせいでは?」
ユウリの触手という言葉に、中に居たキールが反応した。
「うわぁぁぁぁ!!!!いやだぁ!もう嫌だ!」
扉の先からそんな悲痛な叫び声が響き渡った。
「おーい!王子!中に居るなら扉を開けてくれ!今日は王子にお土産を持って来てやったぞ!」
そう俺が扉に向かって叫んだが、やはり返事はなかった。
どうする?王子が引きこもってるのは、絶対に100%俺のせいだ。
だから出来ればそれも解決させてやりたいんだが……
…………そうだ!
「王子!今日持って来たのは触手に強くなるダンジョン産の装備ですよ!」
そう俺が言うと、扉の先からドタバタと大きな音が鳴ったと思うと、扉が勢いよく開かれた。
「触手に強い装備ってのは本当………………ブッ!アハハ!何だよその格好www」
「ん?俺の一張羅だが?」
それを聞くと寝不足のせいか、目の下にガッツリとクマの付けたキール王子が腹を抱えて爆笑し始めた。
そんな王子に笑われた俺の格好は、
皆んなで取りに行った猫耳猫しっぽ付きのメイド服に、複数の魔法属性の威力を上げる指輪や腕輪を大量に付け、更に背中には一本の魔法の杖を背負っていた。
「どうだ!かっちょ良いだろ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます