第19話大きな傷
作戦を告げた俺達は指輪を付けた俺を盾に、俺→キール王子→ユウリ→シャロの順番で部屋の中へと突撃した。
「かかって来いや!クソスケルトン!」
確かゲームだとスケルトンは、手を振り下ろして攻撃してたはずだから、上段からの攻撃を警戒していたら何発かは避けれるはず!
そう息巻いたアクトだったが、スケルトンはゲームでしていた引っ掻く様な攻撃では無く、普通にグーで腹の辺りを殴られた。
「ぐはっ!」
そして続け様にスケルトンがもう片方の拳で、殴りかかって来たので、それを見た俺は急いで指輪を取りそれを後方へと投げ捨て、それと同時に俺はダンジョンの入り口へと飛ばされていた。
そうしてスケルトンの攻撃がアクトに集中しているうちに、キール王子はスケルトンの横を通り抜けて、一目散に宝箱のある場所へと向かった。
そして放り投げられた指輪はユウリを受け取り、それを指に嵌めるとユウリはそのまま抱きついた。
だがそれもすぐに振り払われてユウリは尻餅をついた。
「きゃっ」
ユウリは可愛い悲鳴を上げると、恐怖心から手で顔を隠し来るはずの衝撃を待った。
だがいくら待とうとその衝撃が来るとは無かった。
そしてゆっくりと目を開くと、そこには風魔法でどうにかスケルトンの攻撃を防いでいる、身体中から汗をダラダラと流しているシャーロットの姿があった。
「シャーロット様!?」
「ユウリちゃん早く立って!こいつシャロ達の魔法じゃ殆どダメージは与えられないけど、少しは動きを鈍らせる事は出来るの!」
それを聞いたユウリはハッとした顔をすると、土魔法でスケルトンの足を地面に埋めて、シャーロットの魔力が切れたのと同時に、シャーロットを庇う様に抱き抱えた。
そしてシャーロットを庇ったユウリはスケルトンの攻撃をモロに受けて、身代わりの指輪を使用した。
「大丈夫でしたかシャーロット様?」
「ううん、ユウリちゃん庇ってくれてありがとう」
そう2人が話した次の瞬間部屋の奥の方から、大人になりきっていない少年と青年の中間の様な男の喘ぎ声が聞こえた。
「んっあ♡くそッ!何だこれ!辞めろ!どこに入って……あっ♡やめ…やめろぉぉぉぉぉ!!!」
その声が聞こえた方へと目線を向けると、そこには触手が煌びやかな服の中を弄り、全身をヌメヌメとした謎の液体が体中を濡らし、頬を少し赤らめているキール王子の姿があった。
それを見たシャーロット、ユウリ、そしてスケルトンまでもが、それを見てこう思った。
お前の触手プレイに何の需要もねぇよ。と
3人が呆然としながらその状況を見ていると、触手は満足したのかゆっくりと宝箱の中へと戻り、そして触手に辱められたキール王子の手元には、いつのまにか猫耳と猫のしっぽの付いたメイド服が握られていた。
そして王子は泣いていた。
1人シクシクと静かな部屋で泣いていた。
それを見て流石にこれ以上は可哀想と思ったのか、スケルトンは攻撃する手を止め、3人に部屋から出る様に促し、そのスケルトンの意志を感じ取ったユウリとシャーロットはキール王子の元へと行くと、キール王子を励まし始め、そして2人でキール王子の肩を持って部屋から出て行った。
そして3人はなんとも運がいい事に、その後は魔物と接敵する事なくダンジョンを脱出する事に成功した。
「おお!皆んな無事だった…………いや1人無事じゃないのが居るな」
1人速攻で倒された俺は、3人がダンジョンから出て来るところを見て、まさか3人が無事に帰ってきた事に驚きながら手を振り近づいた所、2人に肩を借りた状態のキール王子が謎の液体に体を濡らし、服もところどころはだけた状態で涙をこぼしていた。
その後キール王子は、俺達の護衛について来ていた執事や騎士団の人達に、体を拭かれたり服を着替えさせられていた。
「ま、まぁ何があったかは聞かないけど。そんなにヤバかったの?」
「そのーまぁ、何と言いますか……」
「シャロはお兄様にだけなら見せてあげたいです!」
「そっかー」
ゲーム本編だったらちょっとしたエロイベントだったけど、リアルだと真面目にヤバいやつだったんだなと思った。
「ま、まぁ、何にせよ!目的は達成出来たな!」
そう言って俺はキール王子から受け取った猫耳猫しっぽ付きメイド服を天にかかげた。
「お兄様が欲しかったのってそれで本当に良かったのですか?」
「ん?ああ、そうそうこれだよこれ!メイド服って所が欠点だけど、それ以上に効果がいいからな!」
俺はドヤ顔でそう答えた。
その後俺達はキール王子の元へ行き、今日まだ他のダンジョンも行くつもりだと言ったが、残念な事にキール王子の心には大きな傷ができたらしく、静かに首を横に振り、そこでキール王子はパーティーから別れ、心の傷を癒す為に王城へと帰宅した。
「よし、我ら攻略隊の隊員の1人が犠牲になったが、この後のダンジョンは基本的に安全な所だから安心してくれ!それじゃあ次のダンジョンへ向かうぞ!」
「おー!」
「……お、お〜」
流石にキール王子の惨状を見たユウリは少し及び腰だったが、俺達は次のダンジョンへと向かった。
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