友人からの電話
これは五年前、私の知人Aさんが実際に体験したお話。
当時Aさんは配送の仕事でトラックを運転していた。
Aさんの後輩であるリョウさんも同じ会社に勤めており、Aさんの事をかなり慕っていた。
リョウさんのAさんへの思いは強く、Aさんが別の運送会社へ転職した時も、Aさんと同じ会社へ転職するほどだった。
Aさんもリョウさんの事を可愛がっており、深夜に運転する事が多かった二人は毎日深夜2時~3時の1時間電話していたそうだ。
ある日、リョウさんが交通事故によって亡くなってしまった。
あまりの突然な出来事にAさんは、心にぽっかりと穴が空いてしまったかのような喪失感を抱えた。
リョウさんが亡くなった事実から仕事も手につかなかったAさんは、毎日酒を吞んでは泣いていたそうだ。
仕事もせずに一週間、泣き続けていたAさん。
そんな生活をしていたAさん携帯電話が鳴った。
着信の相手は非通知だったので、悪戯かと思ったAさんだったが着信時間を見て電話の相手がリョウさんだと直感した。
何故なら、時刻は深夜2時だったからだ。
それは、毎日Aさんがリョウさんと電話していた時間だった。
咄嗟にAさんは電話に応答すると、スピーカーからは音はせずに無言だった。
「リョウちゃんなんだろ? 俺の事心配して電話してくれたんだろ?」
Aさんの言葉に相手は何も答えないまま、20秒の通話時間の後に電話が切れてしまった。
通話の相手は何も答えてくれなかったが、Aさんはあの世からリョウさんが電話を掛けてくれて、俺を叱ってくれたんだと私に語りました。
その電話以来、Aさんは仕事に復帰したそうです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます