鳥の怪
これは、私の知人Aさんが実際に体験したお話。
介護施設に勤めているAさんは、とある介護施設で働き始めた頃に先輩からある質問をされた。
「Aさんは霊感がある人?」
そう尋ねられたAさんは首を横に振った。
実際、Aさん自身は一度も心霊現象に遭遇した事など無かったそうだ。
「そう、良かった。ここは出るから気を付けてね」
本当か嘘か分からない忠告をされたAさんは少し不安な気持ちになったが、仕事中に何も起きる事は無かった。
ある日、施設利用者の一人、高齢の女性がAさんに尋ねた。
「今、お手洗いに行った人は誰かい?」
女性の指差す先を見るが、そこには誰も居らず開いたままのドアしか無かった。
誰も居ない事を女性に告げると、女性は何かを察したように「ああ」とだけ答えた。
Aさん自身が何か心霊体験をする事は無かったが、その高齢の女性だけは時折変な事を言っていた。
時には「今、あそこに幽霊が立ってるよ」と直接的な事をいう事すらあった。
その度にAさんだけではなく周囲の人も怖がり、その女性が『見える人』というのは、施設内では有名だった。
高齢の女性があそこに霊が居ると言っても、実際Aさんには見えないのだから業務に何の支障も無く、こういった高齢者が集まる施設では心霊現象などよくある話だそうで、Aさん自身も慣れ始めていた。
しかし、そんなAさんが唯一怖かったと語る出来事がある。
いつものように施設利用者の高齢女性が霊が居るとAさんに言い始めた。
しかし、それはまるで訴えるように、または助けを求めるような必死な形相でAさんに言うのだ。
「窓の外に人の目をした鳥が居る」
Aさんも窓の外を見るが、窓からはいつも通りの景色しか見えない。
いつものように何も居ない事を伝えるAさんだったが、高齢女性は「なんで見えないの? なんで見えないの? そこに居るじゃない?」
罵声にも似た悲鳴を上げる女性の様子が恐ろしく、今も脳裏に焼き付いて離れないと言う。
一体女性は窓の外見た鳥の正体は何だったのか、知っている人が居れば教えてください。
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