イケメンが不細工に転生したら、人生ハードモードじゃなかった件

三上 真一

第1話 イケメンがブサイクと会う日

俺の名前は「池 免太郎」。略して「イケメン」。みんなから愛されるこの顔は、生まれたときから整っており、それは親から受け継いだ遺伝子からくる。でも勘違いしないでほしい。


俺は『性格もイケメンだった』


女の子の機微(心のゆれ)が、手に取るようにわかるのだ。


『この部屋、やけに寒くないですか?』


と女の子が俺に話しかければ、


『今、私が寒がっているんだからさっさと空調いじってこんかい!』と、


女の子が寒がっていることに一瞬で俺は気づける。はず(もしかしたら、俺の勘違いかも・・)


「オッケー。エアコンの風、君に当たらないようにしてくるよ」

「・・・・・・・好き・・・」


そんなこんなで平和で好きな女の子との学校での幸せライフを送ってきた俺。そんなある日、転校生が自分の教室にやってきた。


「醜 歩太郎です。よろしくお願いいたします。」


『えっ?』


俺は、その転校生の顔を、3度、いや、5度見した。それほどの・・なんというか・・個性的なブ・・顔だった。


ざわざわざわ・・・


教室が、いろめき・・いや・・・騒ぎ出す。


「みんな静かに。今日からみんなの友達になる醜 歩太郎君だ・・・彼はすごいぞ!」

「えっ・・そんなの・・もう・・わかりますけど・・」

性角良夫(せいかくよしお)がそう言うと、まわりから笑い声が聞こえる。そうだ。みんな、あの顔をみれば、わかるじゃないか。


『圧倒的・存在感』


彼はその・・・そこにいるだけで・・・すごいフェイス(存在)だったのだ。


「彼のお父さんはあの東大の教授で、彼のIQも170越えだぞ?」

「マジか!」

「すげぇ!」

「頭いいの?」

みんな、歩太郎の顔には触れず、彼の頭の良さに、驚いていた。

「みんな、将来の東大候補生だ。仲良くしておくと、いいことあるかも・・な」

教師は、このクラスから東大合格者が出る可能性があることに嬉しそうだ。しかし、何か面白くない。

「そうだな・・池・・お前の席の横に歩太郎君は座りなさい」

「先生!ちょっと」

俺は抗議しようと席を立つ。俺の隣の席は、可愛い女の子と相場が決まっている。それに

「お前は性格と顔がいいんだから、頭をちゃんと歩太郎君に教えてもらえよ!」

そう教師は付け加えた。

「なんで!?」

「完璧な人間になれるじゃないか」

教師は、そう、笑いながら言う。そんな歩太郎は、気が付くと僕の席の横に座っていた。なんて歩くスピードだ。早・・早すぎる!

「よ・・よろしく・・池君」

いつの間にか歩太郎は友好の手を差し伸べてくる。もはや抗議しても、どうにもなる次元ではないのが免太郎にもわかる。

「よ・・よろしく・・・」

しょうがなく、俺は、それを飲むしかなかった。だが、それが自分にとって最初で最後の最大の失敗であることを、あとで知ることになる。


そう


俺と歩太郎の、長い長い人生逆転劇のはじまりなのだ。






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