感情はいつもブイマーク

yusumai

ブイの出会い

俺の幼なじみ桃花小百を一言で表すなら、俺は迷わず直ぐにこう表現するだろう。

普通俺は、他人のことを評価するにあたって悪いイメージを植え付けるような言葉は極力選ばないようにしている。

しかし、どれだけ考えたとしてもこの、桃花小百を最も分かりやすく、誰が見ても共感できるような表現を選ぼうとすると、真っ先にこの言葉が思い浮かんでしまうのだ。

はっきりいって彼女は、

 「うるさい」


彼女のうるささの大部分はきっとこのポーズにあると思う。彼女はことある事に

 「ブーーイ!!!」

と言いながら手をピースにして俺に近づいてくる。何を意味してるのか、なぜ俺にそれをするのか。はっきりいって意味不明だ。

1度中学生の頃に聞いてみたことがある。

 「なぁ桃花」

 「なあに誠一?」

その時も彼女はその時もダブルピースをしながら、期待の眼差しでこちらを見ていた。

「お前いつもピースしながら"ブーイ”って叫んでるけどそれどんな意味があるんだ?まんまアルファベット?」

 彼女は少し間を置いて満面の笑みで答えた。

 「ブイはね幸せの呪文なんだよ!

 悲しい時も寂しい時もブイのポーズをすれば

 大丈夫って思えるんだよ!」

「幸せの呪文ねぇ、、」

 相変わらずの声量と、高く幼い声で彼女は、俺に強く訴えかけてきた。だが、彼女の努力は虚しく、俺にその言葉の意味が伝わることは無かった。というか考えても疲れるだけなので、やがて俺は、考えるのをやめた。



 

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