彼氏に浮気されて病んでいた学年一可愛い女の子を助けた結果、責任を取る形でシてしまった件
さい
第1話 もしも自殺から助けたら?
とある日の放課後の屋上──。
俺、櫻井隼人は安全柵の向こう側にいる一人の女子生徒──綺麗な黒髪ロング、透き通るほど綺麗な肌の持ち主であり、学年一可愛い女の子と男子の中で言われている黒宮静香に向かって言った。
「何考えてるんだよ、黒宮さん!」
と。
たまたまだった。
なんとなく屋上に来てみたら安全柵の向こう側に一人の女子生徒がいたのだ。
最初は誰かと思ったが、すぐに誰かわかってしまった。
そもそも同級生で彼女を知らない人なんていないレベルの有名人だ。
間違いなく自殺をしようとしている。
「ほら、一旦、落ち着いて……」
そんな彼女が自殺をしようとしているだなんて、何かあったに違いない。
「あなたに何がわかるって言うんですか!?」
こちらを振り向いて泣き目でそう言う黒宮さん。
いや、何もわからないよ。
黒宮さんとだって別に今この瞬間まで話したことなかったわけだし。
でも、見て見ぬ振りをするなんてできないだろ。
「いや、何もわからないけどさ、一回考え直しませんか?」
くそ、どうすればいいんだ。
こういう場面に立ち会うだなんて思ってもいなかった。
てか、こんな場面普通あるかーい。
「無理です……もう、私生きられません」
本当に何があったんだ。
「そんなこと言わないで、ほら、こっちに……」
ああ、なんとかして安全柵からこっちに戻らせなければ。
「何もわかってないくせに!」
俺は駆け足で、彼女に近づいて彼女の右手を掴んだ。
「ああ、だから何もわからないって言ってるだろ! わかったか? とにかく、こっちに……」
「嫌です、もう生きる意味なんて……生きたくないです。わからないですよね、私のこの気持ちが!」
「わかるはずねーよ、俺は俺で、黒宮さんじゃないんだから!」
こういう時に限って、外の部活動はどこも行っておらず、ここにいるのは俺だけだ。
なんてこった。
俺一人でどうにかなるかこれ。
「ならあなたに関係ないじゃないですか、手を離してください!」
「関係ないけどよ、この世界から可愛い女の子が一人減るなんて嫌なんだよ……」
「なんですかそれ」
今俺が彼女を助けようとしている理由はまさしくそれである。
こんな美少女を絶対に殺すわけにはいかない。
「あと、俺、今日うんこしたあと手洗ってねーから! なんなら、少し手についた!」
もちろん嘘である。
本当に、さすがに嘘だから!
「汚い……最低です」
「ならこっちに来い!」
「離してください」
「どんどん菌が黒宮さんの手に移っていきますよ!」
「……もう、わかりました。わかりましたからぁ……」
崩れ落ちるように泣きながらそう言う黒宮さん。
「なら、私を助けてください」
どうやら心が折れたようだ。
よかった。
本当に良かった。
「ああ、助ける!」
こうして、黒宮さんは安全柵からこちら側にやってきた。
マジで良かった。
死ななくて良かった。
「……私、彼氏に浮気されたんです」
突如、自分語りをしだす黒宮さん。
黒宮さんの彼氏は同級生の佐藤光太郎である。
知っている。
なんせ、彼はめちゃくちゃイケメンなのだから。
つまり、二人はめちゃくちゃ釣り合っているというわけだ。
浮気!?
おいおい。
「は? え?」
頭がこんがらがっている。
「……私を助けた責任は取ってもらいます……」
は、待ってくれ、意味がわからない。
そう言うと黒宮さんは俺の両頬を押さえて、顔を近づけた。
「なっ、黒宮さん!?」
甘くバラの匂いがする。
次の瞬間、ふと、唇に柔らかい感触がした。
キスである。
口の中に生温かく柔らかい物体が入ってきた。
舌だ。
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