レベル上げ

 喰らえ!


「ギュウゥ!!ギチッギギギギギギ……」


 そう弱々しく鳴きながら、六本の足は苦しげに地面を叩いていたが、それもじきにゆっくりになり、遂にはピクリとも動かなくなった。



【12の経験値を得ました】

【キャタピルスケイラのレベルが1~3へ上昇しました】


【恒常スキル:ロケットはLv3~Lv4へ変化しました】


 ふぅー……よし、終わったか。


 進化とステータス確認を終えた後。

 俺はレベル上げに勤しんでいた。

 今殺したのはスコッチとか言う奴で、足が六本の跳んで移動するバッタの様な奴だ。

 どうやら温和……というか臆病な奴らしく、こちらが攻撃しても逃げるばかりで攻撃して来ないので経験値稼ぎには持ってこいなのだ。

 ただ、その分スキルに有った健脚とやらの効果なのか、その逃げ足は半端じゃない。


 俺がロケットを持ってなかったらまず間違いなく逃がしていただろう。

 ホントに進化後もこれが使えて良かった。

 これならこいつを暫く狩っているだけでまた進化出来るだろう。

 よっしゃ!ジャンジャン狩ってガンガン強くなるぞ!!


 って感じで意気込んで探してたんだが……


 す、少ねぇ……


 内心そう呟きながら改めて辺りを見渡した。


 そこにはどこか陰鬱とした雰囲気を漂わす木々が佇んでいるだけ。

 生物的な雰囲気は殆ど感じられなかった。


 多分……二時間位かな。

 そのくらい歩き回ってようやくスコッチがもう一匹居た位だ。

 それを狩ってまたレベルが2上がったから……単純計算で残り7.5時間彷徨い続ければ進化できる計算か?

 ……いや、まだ試してないから知らないがレベル上昇によるレベルの上がりにくさと言う概念も多分有る筈だ。

 それも加味すればもっと時間も掛かるかもしれない。

 はぁー、もっと効率良い奴居ねぇかなぁ

 内心そうぼやいた時だった。


 ……ん?


 俺の何らかの何かしらが何かを察知した。

 ……いや、ふざけてる訳じゃ無くてマジで。


 視覚でも聴覚でも触覚でもない『何らかの何かしら』としか形容出来ない感覚が確かに何かをキャッチしたのだ。

 まず間違いなく勘違い等ではない。

 現に、その感覚は未だにその「何か」が起きた場所を指し示しているのだから。

 だが……


 さぁて、どうしようか。


 俺は一旦考えることにした。


 経験値だのスキルだのさっきからゲームっぽいことを言ってるが、俺にとってこれは紛れもなく現実なのだ。

 そんなわけでなるべく未知には突っ込みたく無いんだが……このままじっくり探索していてもしょうがないし、そこで手も足も出ない化物に出会わないなんて確証は無い。

 それならこの感覚に従いこの環境を一新してしまうのも一つの手では無いだろうか。

 仮にその環境がまだ早いと感じるようならこの感覚の正体だけでも暴いて帰ってくればいいしな。


 そういう訳で俺はこの感覚に従うことにした。

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