OZ

夢水 四季

第1話  炎

炎に包まれていた。


 俺の街が燃えている。


 学校からの帰り道、一瞬にして街が火の海になっていた。


 どうすれば……。


 恐らくは家に続いているであろう道を歩いていく。


 炎が沸き上がる。

「うわあっ」

「死んだか」と思った刹那、何かが振るわれ、俺は飛ばされる。


 鎌を持った少女がいた。死神が持っているような大きな鎌。

「邪魔だから逃げて」

少女は炎の中を駆けて行った。

「逃げろっつったって何処へ……」



 炎で燃え盛る鉄塔が倒れてきた。

「危ねえっ!」

 俺を誰かが突き飛ばして、鉄塔の下敷きになる。

「あ、あ、あ……」


「お前、大丈夫か?」

「は、はい……」

 鉄塔の下から声が聞こえる。

 まだ生きてる!

「だ、大丈夫ですか⁉ ひゃ、110番」

「119だろ、まあ間に合わねえがな」

「そんなこと言わないで下さい!」



「俺はアカツキ。お前、名前は?」

「鳴子トキヤです」


「お前に託す」

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