第22話 島民たち

次の日の朝、ダンジョンに入ると気合の入ったドワーフたちが体操をしていた。


「清美嬢。おはようさん。こちらの準備は出来ているからまずは砦を作るところまで案内してくれ。それから設計図や資材の運搬をするから」


私は早速、ドワーフたちを連れて第2ダンジョンへ向かう。道中、見慣れない集団を連れた私たちに声をかける人はいなかった。


第2ダンジョンへ着いたドワーフたちは集まって相談事を始める。私は蚊帳の外だったので見張りのウルフとピクシーを交代させて第1ダンジョンまで戻ることにした。


何事もなく第1ダンジョンへ到着すると、そこにはハーフリンクのリン君たちが野菜の収穫を行っていた。私も手伝おうとすると


「もう少しで終わるので清美さんは待っていてください。この後、台車に載せます。ドワーフたちが出払っていて運び手が清美さんしかいないので、休憩していてください」


というので遠慮なく休憩させてもらった。


野菜の準備が終わると、第1ダンジョンを出て炊事場へ向かう。その道中で昨日見た小学生くらいの子供4人がこちらをうかがっているのが見えた。


私が声をかけようとすると、急いで逃げていった。引きこもりだった私とは面識がないので少し傷ついたが気にしないことにした。


炊事場に野菜を持っていくと、小学生の給食を作っていた奥様方に挨拶され積み荷の野菜がどんどん運ばれていく。種類が少ないことを申し訳なく思っていると、表情を読まれたのか奥様の1人に声をかけられた。


「清美ちゃんのおかげで食事がとれているんだからそんな顔しないの。まあ、きにしているなら今度はお肉を少しでも持ってきてもらおうかしら」


奥様が手を頬に当てそんなことを言うと、周りの人たちも便乗してきた。中には本気で言っている人もいたが、そんなひとは奥様方に叩かれていた。


私も皆につられて笑いながらも魔物の肉は食べられるのだろうか?と本気で考えていた。


そんな奥様方の作った野菜のスープを朝食にして、第2ダンジョンの様子を見に行こうとしたときに大工の皆さんに声をかけられた。


「清美ちゃん。町役場の職員に話を聞いたんだが、ダンジョンの1つが危険で砦を作ろうって話になっているみたいじゃねーか。それなら人手が必要だろう?俺らも使ってくれや。足場くらいなら作れるからよ」


「では、お言葉に甘えます。他に材料になりそうなものがあったら持ち寄ってください。ダンジョンの場所は分かりますよね?」


「ああ。話は聞いてる」


「ではそこにちっちゃなおじさんみたいな人が20人ほどいますのでそこに集まってください。話は私が通しておきますので」


「分かった。それくらいしか力になれなくて申し訳ねぇが勘弁してくれな」


そういうとそれぞれ家の方角へ帰っていった。

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