第18話 人質(ウルフ)

ドワーフの長との話を終え、里の入り口に戻ると私がテイムしているウルフたちが子ウルフの首根っこを噛んでいた。


なにが問題かというとその子ウルフは私がテイムしているウルフと毛の色が違うのだ。つまり何らかの方法で子供を攫ってきたらしい。


ウルフは言葉を話せないので相互の意思疎通ができない。それに困っていると、一匹のウルフが入口に向かって歩き出した。それに続き他のウルフたちも入口へ歩いていく。


「着いてこいって事ですかね?」


「おそらくはそうだな」


私はガルフ戦士長と話しながら里から離れていくと、茶色っぽい毛皮のウルフがどけ座のようなポーズでうなだれていた。そのウルフたちにはいくつか傷があり、私がテイムしているウルフたちは無傷だ。


なんとなく状況を察した私とガルフ戦士長は眼を合わせる。そうして待っていると、ウルフが一匹立ち上がりこちらにのそのそと歩いてきた。


そのウルフは足を縦に軽く振っている。私に手を差し出せと言わんばかりの行動だったので思わず手を差し出すと、その手に手をのせてまさしくお手のポーズをしてきた。


そして、魔力の流れを感じたので受け入れて、こちらの魔力を流していく。


「ステータス」


___________


【テイム】


ウルフ  * 40


ピクシー * 30


ドワーフ * 15


___________


なんと22匹ものウルフがテイムされていた。ちなみに毛色が違うがステータス表記はウルフで統一されていた。


私が驚いている間に子ウルフの首根っこを咥えていたウルフは口を離していた。そして解放された子ウルフは親の元に戻るのかと思いきや子供同士で集まってじゃれあっている。


「なんだか癒される光景ですけれど、あれは完全に人質として扱っていましたよね?」


「・・・そうだな」


何とも言えない感想を言い合う私とガルフ戦士長だった。


それはさておき。


ウルフの仲間を加えた私たちは慎重に山道を歩いて、西の方角へ向かう。


道中では子ウルフが狩りの練習をしていたのだが、今回は獲物がいないらしく大人しく私たちの前後に分かれて行動している。


そうして、3時間ほど歩いた時にガルフ戦士長が到着を知らせてくれた。


こちらのドワーフたちも洞穴に里を作っているようではあるが、門は洞窟の前に設置されていた。そこでは2人の門番がこちらを警戒している。


私は、前を歩いていたウルフたちに後ろに下がるように言ってガルフ戦士長が前に出る。


そこで門番たちは私たちが敵ではないと分かったのか警戒を解いてくれた。


「私はここから東にあるドワーフの集落の戦士長だ。貴殿らが救援を求めていると聞いて参上した」


戦士長がそう言うと門番の1人が中に駈け込んでいき、もう1人が私たちに話しかけてくる。


「今、長に報告に向かったため申し訳ないがしばらくお待ちください」


私はウルフたちに囲まれながら、門番が戻ってくるのを待った。

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