第5話 幸せの群像

そろそろ新年会シーズンか。

僕は元々人と距離を置く性格なので、そういうものとは無縁だ。

そう、小鳥遊を除いてな。

彼女は僕の救いだ。悲しい時は一緒に悲しんでくれる。

嬉しい時は一緒に笑ってくれる。

ODしても優しく包み込んでくれる。

死ぬかもしれない境を彷徨った時も傍に居てくれた。

もう悲しませたりしない…なんて約束は出来ないけど。

僕はこの子と結ばれるんだろうな、なんて夢見ている。

趣味でやってる音楽は順調だ、印税も割と入ってくる様になった。

安定したら何かプレゼントしたい。

何がいいかな、朽ちぬようブリザーブドフラワーなんかがいいかな。

幸せの象徴になればいいんだけどな。

そう思って僕は今までに思いを馳せる。

水族館デートは楽しかったな。

もっと楽しい所へ行きたい。テーマパークとかね。

薄給なのであまり幸せには出来ないよ。

「先輩といるといつでも幸せです」

そう言って微笑みかける。

僕はそれが嬉しくてたまらない。


「僕も小鳥遊といるとずっと幸せだよ」

つい僕も口に出してしまった。

きっと顔は真っ赤だろうな。慣れないことはするべきじゃない。


「先輩が素直だ…」


そんな、今日だ。

今日も幸せに包まれている。

きっと、明日も、明後日も。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

Re:フルニトラゼパムとソーダの夢(return) 水城 瑞希 @mizuki_mizuki

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ