この恋を初恋と呼ばせて

1、再会

「ほらー、席付けー」


いつもの様に、長澤ながさわ先生が、みんなに朝の挨拶をさせるために、号令をかける。


「はーい」


生徒達が席に着く。京子きょうこも、礼儀正しく、先生にお辞儀をして、席に着いた。


そして、いつもとは違う光景に、教室が少しざわめく…。


「入って来い」


「…はい」


「今日から、転校してきた友永謙信ともながけんしん君だ。みんな、仲良くするように」


「………」


最初の言葉は、何だろう?みんなの注目が集まる。


しかし、当の謙信の視線の先にいるのは、誰がどう見ても、だった。そして、京子は、目を丸くして、


ガタン!!


と席から立ち上がった。その京子を指さし、侑哉は、言い放った。


弓絃葉ゆづるは!!」


それに、呼応するように、京子も何の迷いもなく叫んだ。


謙信けんしん!!」


そして、クラスメイト達の目の前で、しかも、教師の居る前で、2人は、駆け寄り、教室の真ん中で抱き合った。


「迎えに来たよ!弓絃葉!」


「待ってたよ!謙信!」


教室中、意味が分からない。…ただ、何となく、大きな拍手が送られた。

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