judgement night NEO
kazn
〜連続婦女暴行事件〜 ギルド
女性は息を切らしながら、自分を追ってくる何かから逃れようと必死に走った。その表情は恐怖に満ちていた。無我夢中で走り、人気のない公園に差し掛かると、女性は背後を振り返る。だが誰もいない。女性は振り切れたと安堵した次の瞬間、身体に何かが巻きついて真横に引っ張られる。女性は茂みの中に引きずり込まれる。
「ヒッ!イ、イヤッ!やめてー!」女性の身体中を触手の様な物が這いずり回り、その1本は口から喉元まで入る。
「ッオゴ!ゴッ」女性はくぐもった声しか出せずに涙目になる。身体中を這いずり回る触手は女性の服の中に侵入し、肌を直接刺激し始める。やがて、1本の触手は秘部へと当てがわれる。
「ーンンーーっ‼︎」女性は身を捩るも触手は離れない。触手は秘部の内部に侵入した。触手は内部を堪能する様に蠢く。やがて、女性はその身を痙攣させながら、ぐったりと動かなくなった。
TVのワイドショーでは、連続婦女暴行事件を取り上げていた。
「ここで、本日のゲスト、元S県警地域安全対策推進室室長を務めていらした、安斉 広美(あんざい ひろみ)さんにご意見を伺いましょう。安斉さん宜しくお願いします。」司会は言う。眼鏡をかけたパンツスーツの綺麗な女性は
「宜しくお願いします。」と挨拶した。
「安斉さん、既に6人もの女性が各地で同じ様な手口で被害に遭われておりますが、コレは同一犯の犯行と見て宜しいのでしょうか?」司会は聞く。
「手口から見て、その可能性は非常に高いと思われますね。」安斉は言う。
「ですが、未だに怪しい人影を見た人が1人もいないという、いくら人気の少ない場所とは言っても、今までの犯行場所は近くに民家もあれば国道もある。それに犯行時刻なんですが、大体、18時〜20時の間というこの辺りはいかがですか?」司会は聞く。
「そうですね、例えば人通りの多い所でも、見えにくい服装であったり、周りの風景と同系色の色の服装である場合、近くにいても気づかない事はあります。時刻についてですが、コレは犯人が比較的、規則正しい生活をしていると思われますね。」安斉は言う。
「と言いますと?」司会は聞く。
「例えば下校時刻であったり、退勤時間であったり。この犯人にとっては、18時〜20時という時間が動きやすい時間と思われます。また、ボードをご覧いただいてもわかる様に、」安斉は司会者の隣にある、事件の概要を記したボードを手で示す。
「J◯ M線沿いの公園、河川敷で犯行が行われています。私もS県警に所属していた頃に、よくM線は利用していたのですが、痴漢の被害も多い路線で、駅と駅の間隔も長いんですね。ですから、女性の皆さんには、例え駅からご自宅が近い場合にも、バスを利用されたり、少し遠回りでもなるべく大通りを通ったり、駅まで自転車を利用したりと、自分で自分の身を守るちょっとした工夫が犯行を未然に防ぐ為には必要かと思います。」安斉は言う。
「はい。安斉さんありがとうございました。CMの後は、D市で起きた強盗事件のニュースをお伝えして参ります。」司会はカメラに一礼する。
「物騒な世の中だな。」華月は居間のTVを見ながら独り言を言う。
「ぶっそってなぁに?」隣でご飯を食べている友里は聞く。
「恐いって事よ。」お腹の大きな綾乃は友里に諭す様に言う。
「パパ、何が恐いの?」友里は華月に聞く。
「色々な。」華月は友里の頭を撫でる。
「気になる様でしたら、お調べいたしますが。」綾乃は華月に言う。
「いや、いい。ギルドも動いている様だし、加奈も直人と共に色々調べている様だ。俺達は既に隠居の身。首は突っ込まない方がいい。」華月は言う。
「少し寂しい気もしますね。」綾乃は華月と共に動いていた時を思い出す。
「加奈は、俺が思っていた以上に12鬼神としての役割を果たしている。直人の存在が大きいのもあるが、正直、ここまでやれるとは思ってなかった。もしかすると、俺は加奈をみくびっていたのかも知れん。」華月は言う。
「華月様の優しさは加奈様にちゃんと伝わっておりますよ。」綾乃は笑顔で言う。
「おります。」友里は笑顔で華月に言う。
「そうだな。」華月は友里を抱っこする。
昼休み加奈と直人は屋上に来ていた。
「交渉人Sから。」直人はスマホのアプリを開いて加奈に見せる。直人のスマホ画面にはこう記されていた。
案件:【連続婦女暴行事件】
依頼人:N.T
報酬:120万〜
ターゲット:不明。捕縛のみ。(滅殺の場合、報酬なし。)
備考:依頼人との直接交渉可。案件を受ける場合のみ、交渉人より、依頼人の連絡先を伝える。(依頼人了承済み)
「受けるわ。」加奈は直人に言う。
「はぁ〜。そう言うと思ったぜ。」直人は渋い顔をする。
「何よ、私とのバディが嫌なら、解消したっていいのよ。私はピンでもやれるわ。」加奈は直人に言う。
「ピンでやれる?勘違いも甚しいな。Bランクのお前がピンでやれる程、この世界は甘くない。それにお前、交渉人Sが言ってたけど、受け取った報酬を依頼人に返しているそうだな。」直人は真顔で言う。
「私はお金が目的じゃない。それに、受け取った報酬をどうしようと私の勝手じゃない?アンタは半分貰ってるんだから、何が不満なのよ?」加奈は直人に言う。
「不満か...。加奈には、そう見えるのか?...わかった...。今のお前に背中は預けられん。」直人は言う。
「...わかったわよ...。」加奈は少し寂しそうに言う。
「加奈、聞けって。お前のやり方を、良く思わない連中だっているんだ。MC(ミッションコンプリート)率だけで言えば、トップクラスかも知れないが、ギルドは組織だ。組織に所属する以上、お前だって組織の顔なんだよ。俺達は命を掛けている。その代価が報酬なんだ。お前が人知れず、恵まれない子供達の為に報酬を寄付する。これなら、誰も文句は言わないさ。だが、依頼人に返してしまうのは、良くない。もし別件で依頼する時に、あの時タダでしたよね?ってなったらどうする?」直人は言う。
「...それは...。私は本当に困っている人の力になりたいだけ。そういうつもりじゃ...。」加奈は言う。
「だが、依頼人からすれば、ギルド員は皆同じ対応だと思ってしまう人もいるだろう?」直人は言うと加奈は黙り込む。
「報酬は必ず受け取れ。それは依頼人にどんな理由があろうと、例えその札束が血塗れだろうと、その金を用意する、その時の想いを軽んじる様な行為はするな。」直人は言う。
「別にそんなつもりじゃ...。」加奈は言う。
「お前がそんなつもりじゃなくても、金を返された依頼人は、助長してしまう者もいるかも知れないって話さ。」直人は言う。
「...わかったわよ!バカ直人!」加奈は直人の背に蹴りを喰らわし、屋上を後にした。
「...てて、全くじゃじゃ馬なんやから。」直人はスマホを取り出すと華月に電話する。
「どうした?」華月はすぐに出た。直人は今のやり取りを華月に伝える。
「そうか...。すまんな。妹が迷惑を掛ける。ギルドの交渉人にも謝っておいてくれ。」華月は直人に言う。
「わかりました。先輩は伝説の人やから、交渉人も先輩がそう言うてた言うたら喜びますわ。」直人は笑う。
「直人、引き続き加奈を宜しく頼む。」華月は電話の向こうで頭を下げた。
「任しといて下さい!バディですから!」直人は笑う。
「やり取りからして、加奈はピンになったと思ってるぞ。恐らく。」華月は言う。
「ホンマですか?まぁ、うまくやりますわ。」直人は言うと電話を切る。直人のアプリの通知音がする。新規案件だ。直人はスマホを見る。
案件:【はみ出し者】
依頼人:O
報酬:2000万〜
ターゲット:神無月の鬼。捕縛、滅殺問わず。
備考:なし。
直人は慌ててスクショする。が、アプリに現れていた、案件はすぐに消えた。直人は案件の進捗を確認する。誰かが引き受けた形跡はない。案件自体削除された可能性が高い。直人は交渉人の持つ別の電話に電話する。
「今のは何だ?」直人は言う。
「何者かが本部のデータベースに不正にUPした。が、自動で削除されたな。」交渉人は言う。
「恐れていた事が...。ギルドの中に敵が...。」直人は言う。
「貴様だから言うが、如月加奈を快く思っていない者は多い。依頼人の評価は高いがな。」交渉人は言う。
「先程も諭したばかりだよ。」直人は言う。
「バディの解消を受諾したが...。」交渉人は言う。
「だからか...。悪いんだが、元に戻しておいてくれ。」直人は言う。
「バディをか?」交渉人は言う。
「あぁ。」直人は答える。
「わかった。すぐに手配しよう。その方が、あの娘にとっても良いだろうな。」交渉人は言うと別の端末で、元に戻す。
「SSランクの貴様がバディでついている。それだけで、良からぬ企みはしないだろうからな。」交渉人は笑う。
「俺は目の上のたんこぶかよ。」直人も笑う。
「気をつけろよ。組織は大きくなってきている。なるべく全ての案件に目を通しているが、交渉人も増えているのでな。」交渉人Sは言う。
「わかった。何かあれば教えてくれ。」直人は言うと電話を切った。
現在のギルド構成員
SSS:1名
SS:3名(直人はココ)
S:5名
A:37名
B:68名(加奈はココ)
C:134名
志願者:3000人超
交渉人:3名(S、O、M)
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