逆さまに見るゆめ

針金鳥

火守

 カァン、カァンと星打つ音は夜の端までよく響く。


 気まぐれな月明かりだけでは心もとないと、火守たちはあの黒い幕へと小さな灯りをかけることにした。

 太陽の光をしっかりと浴びた石をたっぷりと炉にくべて、赤々と輝きだしたものへと鎚をふるう。一つ、二つ、三つ。打たれるたびに明滅を繰り返し、散った火花が線を引き、夜空流れる星となっては消えていった。

 響く音が石の中で転がっては、内側から仄かな光が弾けだす。絵具を塗り重ねるように丁寧に、じっくりと。焦ってしまえば途端に石は割れてしまう。明るく輝くように、されど優しく。分厚い手袋に覆われた火守が握る鎚の一手は、気を緩めずにふるわれる。


 やがて仄かな灯りは眩しいほどに膨らんで。鎚の音無くとも輝くようになったのならば、夜底に星が一つ、新たに灯った。

 火守の誰もが目指すのは、北の空に一際輝くその不動の星。最初の火守が空にかけた星。それに敵うものは未だない。


 回る夜空の中央で、瞬く灯りは消えずにずっとそこにいたまま。

 彼らの一番星で在り続ける。

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