まずは仙台。

 ボーナスが入った。

 これで生きている間の、全ての収入を手にした。

 あとは逃走旅行に出るだけだ。

 このボーナスが百万もあれば、逃走なんてしなくてもよかったのに。


 出発の時期をずっと考えていた。

 何なら今日出てもよかったが、流石にキリが悪い。

 日曜日ならと思ったが、わざわざ人が多い日にする理由もない。


 まあ、六月の末。六月三十日。

 もしくは、七月の頭。七月一日。

 そのあたりにしようと思う。

 せっかく家賃も払っているし、そこまでは住む権利もあるだろう。

 それに、まだ荷物の処理が出来ていない。

 間に合わなければ、置いていっても構わないと思ったが、人間そこまでずうずうしくはなれないようだ。


 まずは仙台にでも行こうかなと思う。

 北海道から順番に攻めようかとも考えたが、なんとなく抵抗がある。

 あんな広いところに一人でいたら、旅の初っ端から孤独を感じそうだ。

 そんなのは本当に最期の最期でいい。

 まずは仙台で仙台城を見て、牛タンを食べて、松島まで足を運ぼうかと思う。

 その途中で面白そうなものがあれば、ふらっと寄る感じで。

 松島までの距離感がよく分からないが、まあどれだけ遠くてもいい。

 なにせ時間はいくらでもあるのだ。


 とりあえず、部屋を片付けることにする。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る