友達はいない(こともない)

 小中高大とその時々で友達は居た。

 進学のタイミングで、携帯を変えることが多く、面倒なので連絡先の引き継ぎをしなかった。

 連絡を取りたい人からはメールが来るので、それを登録すればいいと思っていたからだ。


 人間関係リセット癖のようなものはないと思う。


 主な連絡手段がLINEになってから、大量に連絡先を消したことはあるけれど、それだって数年連絡していなかったので、リセットという気はしない。関係性という中身がないのだから、段ボール箱や、空になったシャンプーの容器を捨てるぐらいの感覚だ。


 割と周囲の影響は受けやすい方だと思う。

 特に成績は、その時の友達とほぼ同じだった。

 東大や医学部を受験するような友達は居なかった。


 小学校には小学校の。

 中学校には中学校の。

 高校には高校の友達が居た。


 前の学校から引き継がないので現地調達だ。


 唯一、大学ではただの一人も友達が出来なかった。

 本当の友達が、とかそういう話ではなく、連絡先を交換することもなかった。それでも卒業出来たのは一種の誇りだ。


 大学の時は、同じ高校の人と仲良くさせてもらった。


 いや、高校から引き継いでるじゃないか、と言われそうだが、そんなことはない。


 高校の時に仲が良かった人と、大学生になってからも遊んでいたのではない。


 高校生の時には特に仲良くなかったが、悪くもなかったような人たちと、進学先が近く、自宅も近いということで、何回か誘われることがあった。みんな友人作りに悩んでいるようであった。言わば傷の舐め合いだ。


 そんな催しも、二年に上がる頃には、スッカリなくなってしまった。それぞれ、自分の大学で仲の良い人を見つけたと見える。距離が近いというだけで誘われていた私は、同じ大学という最も近い人に敗北するのは、当然のことである。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る