第5話 親友との三角関係?

この場所は、るいにとってはパラレルワールド。

もちろんユキにとっても。るいは、ユキに約束した涼を見守ることを続けている。


るいは高能力者のため、僅かな感覚も察知できるようだ。涼がこの世界で縦の繋がり(この世界での未来や過去に)を経験をしてるように思える。


【なんか、無理して子供してるように見えるんだよなー、この世界でも未来から過去への記憶あるように思えるけどなー、聞くわけにも…】


るいは悩んでいるが、状況に応じて涼に聞こうとしている。ただユキとの本当のことは話せない。

タイムパラドックスを起こす可能性があるからだ。


【涼ってさ、好きなコいるみたいだよ、このクラスに。告白しようとしてるんだって、知ってた?】


るいが友達になった子から聞いたが…

るいは不可思議に思った。涼の行動だ。


【そうなんだ、誰だろうね?】


るいは話は合わせたが、何か引っかかる。涼は未来から過去に戻り同じことをしてるような…


この世界の未来が涼の理想だったから?私やユキは記憶あるのに涼は何で記憶ないんだろ?


るいは、接触を試みる。涼のこともう少し知る必要がある。転校生だから何かと話しかけられるが、涼と話したことはない。


【話しかけてみるか、涼に】


るいは涼を覗き込むように、


【涼くん、それとも、涼ちゃんで呼んだほうがいいのかな?私はるい、よろしくね】


涼はびっくりして、顔真っ赤にして、キョドってる。るいがタイプというか、どストライクみたいだ。


可愛いとこあるじゃん、涼って。

もうちょっとかまってみよう。ユキ、ごめん。

涼の反応面白い!


るいの悪い癖だ。るいは、見た目でかなり可愛いと言われる感じだから、調子に乗ることが多い。


【んー?、るいのこと、嫌いなの?】


るいが寂しそうに涼を見つめている。これは演技だが、涼は解っていない。真剣にとらえている。


【転校生だよね?るい…ちゃん】


【るいちゃん!名前で呼んでくれたの、嬉しい!】


ユキ、ごめん。もうちょっと涼をかまいたい!


その時、涼が、るいの肩に手を伸ばして触れた!


えっ!るいはびっくりして、思わず離れようとした。


【動かないで!】


涼の声にるいは戸惑った。すっと、涼は肩から手を離して、


【ほら、取れたよ、毛虫🐛】


【ギャーーーーーー!】


るいは思わず、飛び跳ねて着地、その時足を捻って、頭から地面に、


【危ない!】


涼は素早くるいを支えた!るいの頭を抱えるように、


【大丈夫?危なかったね】


【はい…】


るいは、何このドラマみたいなシチュエーション。

と思いつつ、暫く動けないでいると…


【立ち上がること出来る?】


るいのことを、涼は抱えながら、立ち上がらせた。


【ありがとう…涼…ちゃん】


その日、何も手につかなかった。


【駄目駄目、ユキの大切な人に、るいは関係ない】


るいは自分に言い聞かせて、納得するように、

無理に納得するように…このシチュエーション弱いタイプ…


【あー、もう、困ったなー、涼ちゃんって】


るいは気になって仕方がない、涼が告白する予定の女のコのこと。なかなか寝つけずにいると、ユキから連絡が入り、


【涼さんに警告に行く、涼さん告白する女のコに断られるはずなんだけど、もし一度未来を経験してるなら…告白の仕方を変えてもし付き合ってしまうとタイムパラドックスの可能性も…、ちょっと、

るい?聞いてる?】


【えっ…ごめん。なんだっけ?】


【涼さんが、断られるって話】


【涼ちゃんが、断られるの?】


ユキは少し考えて…


【涼ちゃん?って、るい、そう呼んでるの?】


【違う。違う、転んだとき助けてもらって…、あっっ、別に何かある訳じゃないから】


【………………るい、何か隠してない?】


【ない、ない、ない。何も無い!】


【………………るい、怪しい。涼さんとなにかあった?】


【べ、別に。何も…気にしないで】


【…嘘下手くそ!もー…るい、何考えてるの!涼さんはそっちの世界で結婚する予定なんだよ、未来に、まだ出会ってない人だけど】


るいは黙ってる。


【るい?聞いてる?】


【………………そんなのやだ!】


【えっ?】


ユキは様子が変わってしまったるいを気にしてる。


【るい、涼さんのこと、本気?】


ユキは心配というか、るいの性格を熟知してる。


【冗談!そんな訳ないでしょ。ドッキリでーす】


るいのさっぱりした答えに、


【るい、あのね、とりあえず涼さん心配だから、そっちに行くから】


【解った。会いたいんでしょ?でもきつくない?】


【大丈夫!これは必要だから】


会話が終わった。ユキは気にしてる。


るい、本気なのかな?るいと涼さん…

似合わなくもない…それはそれで辛いなー


涼さんのこと、見守るって決めたのに…

涼さん…やっぱり大好き。


ユキは悩み続けている。涼のことを本当に想っているから、涼の幸せを願うことにしたはすなのに…


るいも悩んでいる。涼に触れてしまってから。


【涼ちゃん、何だろうなー、好みって訳ではないけど、ずっと気になる。涼ちゃんがユキと結婚するなら諦められるけど、その他の人じゃ、なんか協力したくないなー】


元の世界では、るいは声かけられることに慣れていた。でも。涼はそのようなタイプでなく。

そのギャップにやられてるのかも知れない。


ユキは涼に警告するために来た。


久しぶりに涼さんに会える。ユキは少し浮かれていた。駄目駄目、涼さんの幸せだけを考えないと。

気を引き締めて、涼に伝えた。涼に会うとすぐ、


【こんにちは、次にターニングポイントを迎えますので警告に来ました】


【あなたは好きな女のコに告白します。そこで付き合うことはできません、その条件を変えないでください】


涼は少し辛そうな表情をしている。ユキは察した。

やはり涼さん、未来の記憶残ってる。

この告白に失敗することも知ってるんだ。


涼さん、あなたはこの世界でどんな女性と付き合って、恋をして、結婚して…もう、考えたくない!

とりあえず今はタイムパラドックスが起きないようにしよう。


それから、数日が過ぎて、涼は告白するはずの女のコに告白せず、この事実は無かったことになってしまった。


ユキは慌てて、戻った直後再びこの世界に来た。

大変なことが起きた。涼にすかさず伝えた。


【何してるんですか!あれほど警告したでしょ!】


涼は何も解ってない。この危機を理解していない。


【ユキ、何怒ってんの、可愛いけどね、それも】


ユキはえっ、!と照れてしまった。涼に可愛いって

ストレートに言われて。少し浮かれてしまったが、

冷静になり、TAに連絡を取り伝えた。


【時間軸調整課ユキです。アラートレベル3発動

します。至急対応お願いします!】


これは楽観しても起こる可能性の高い消滅を

意味している。


【ユキ、誰と話してんの?】


涼はこの事態を何も理解していない。


【とりあえず私につかまって、レベル3なので】


緊張感のない涼にそう言うと、涼は


【緊張しますが、手を握ります】


その緊張じゃなーい!もう、解ってないとはいえ、

仕方ないけど、これ消滅だよ。少なくとも。

どうなるか解らないよ、私達…


でも、ユキと手を繋ぐって涼さん緊張するの?

緊張してくれるの?ちょっと嬉しい…


てな、場合じゃなーい!


ユキは手を握りしめ、この先起こるだろう、

タイムパラドックスに備えた。


漆黒の暗闇に包まれた。何かが起こる。

とてつもないことの前触れた、これは。
















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