時空の旅人達

ラグランジュ

第1話 未知なる世界

ここのとこ、毎日同じことが起きている。


【もうこのエリアは駄目だ!離れろ!】

指揮官?と思われる男性の声が響く。


飛び交う叫び声、逃げ惑う人々。

既に慣れてきている人々も少なくない。


【こっちへ来て、落ち着いて、エリアから離れて】

ショートカットの女性の的確な指示で人々が

移動を開始した。


指揮官もこの女性も対処法を知ってるようだ。


少しずつ空間を侵食していく。


時空の狭間…


それは突如現れる。全てのバランスが

崩れ、大地が崩壊し、漆黒の闇が訪れる。

その闇こそが別世界への入口。


別世界と呼ばれる、それは、

パラレルワールド…


並行する世界、同じ時間が流れるもう一つの世界。


本来、行来出来ないはずだが、この世界では限られた精鋭達がその能力を使い、代償をはらって、

もう一つと世界に移動することが出来る。


時空の狭間に引き込まれ、パラレルワールド、

もしくは同世界の過去や未来に時間移動した

人々を正しいルートへ、道案内をすることだ。

ただ、あまりにもリスクが大きく、これを行える

能力者が少なすぎることが当面の課題である。

志願する能力者は家族、恋人、大切な人を

守りたい、それが理由だ。


もし間違えたルートに進んだ場合、時間の逆説、

(タイムパラドックス)が起こり小規模空間消滅が

発生、場合によってはとてつもない大規模空間消滅も起こりえる。


その対策チームとして、時間軸調整課が発足、

この世界で起きる過去や未来への時間移動、また

別世界での同じ現象の原因究明と対策を担う。

通称TAと呼ばれ、既にかなりの成果を上げている。


【いつも通りのおさらいだ】


教官の授業から始まる。受講者は10名ほどだ。


【るい、レベル別に説明してみろ!】


【………】


【おい、聞いてるか…】


【………】

指名された女性が寝ている。


【全く何度言えば…まぁ、いい。極めて高い能力者だから多めに見るか】


【それじゃ、ユキ。代わりに言ってみろ】


【はい、順番を説明します】


【カクカクシカジカ…となります】


【正解だ!知識は、るいより上だな】


説明はこうだ。

①レベル1 変動

②レベル2 発生

③レベル3 消滅

④レベル4 分岐

⑤レベル5 空滅


ユキの説明した順にタイムパラドックスの規模を

示している。

ユキは先程、人々に避難を指示した女性だ。


【既にパラレルワールドに引き込まれた人々を救出に先発隊が向かっている、同世界での過去や未来に引き込まれた人々は別チーム任せてある。こちらではパラレルワールドからの救出に専念する】


【解ったか、別途指示があるまで各自待機!】

教官は、るいの側を通った。

るいは見た目は幼く見える。童顔だ。


【いつまで寝てるつもりだ!】


教官が起こそうとした瞬間、るいはとっさに腕をつかみ捻って抑え込んだ。


【いてて、起こそうとしただけだ!】


るいはハッとして、


【すみません、教官!】


教官は呆れて、


【パラレルワールドで誰と出会すか解らない、その反射神経は役に立つな、ほとんど寝てる割には成績はトップなのが、よく解らないが…】


教官は部屋を出ていった。


ユキがるいに話しかける。


【るいー、寝てばっかり】


【だって退屈何だもん。はやくパラレルワールドに救出に向かいたいよ、友達、親戚とかさ。ユキも婚約者向こう世界でしょ?】


【うん、だから志願したの。結婚生活始まったばかりだったから。何としても救出したくて】


【イケメンなの?】


【普通、でも凄く優しいの。疲れて寝てるとね…】


【あー、ノロケ聞きたくない!どっかにいないかなーイケメンで優しくて、るいのこと一番に考えて、同じ趣味で、甘えさせてくれて、カクカクシカジカ】


ユキは呆れてる。


【理想高すぎ!だから、彼氏出来ないんだよ、もったいない、そのルックスで。黙っていれば男寄って

くるじゃん】


【だからさー、るいから好きにならないと嫌なの】


【はぁー、どうぞご勝手に】


その時、突如警報が日々が渡った。


※※アラート レベル2!!!※※発生ポイントA-2※※


【るい、ごめん、行ってくる!】


【私も行く!】


【向こうの世界で会おうね、記憶残っていればね、高能力者、るいなら残ってるはずだから、私のこと見つけてこの世界のこと伝えて】


【解った、ユキも記憶残ってるといいね、彼氏連れて戻って来て。何度も使えないよ】


【うん、解ってる、私のこといいから、るいも必ず戻って、後で教官に叱られるね、二人とも】


二人は発生ポイントの時空の狭間に飛び込んだ。












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