こっち向いてよ!生徒会長!

bbキャンセル君

日蝕の祭り

副会長と生徒会長は仲が悪い。

太陽に属する生徒会長と、月に属する副会長。

交わるべきでは無い存在が、年に一回交わる行事がある。

それは、日蝕の祭にっしょくのまつりりという文化祭。

その日だけお互いが顔を合わす。

普段は別々の場所にある、男子寮を副会長。女子寮を会長が管理するので

二人が会うことは滅多に無いのだが。


「久しぶりだね・・・・変わらなくてほっとしたよ」

両耳についたピアスが、シャランと音が鳴る。

「・・・・・お前んとこの男が、私の家に不法侵入してたぞ。しっかり管理しとけよそれぐらい」

生徒会長がギロリと俺を睨み付ければ、周りにいた男友達が爆笑する。

「どうりで」

男友達が上から下までじぃーとまじまじと見つめ終わると、さらに爆笑する。

「ボロボロなわけだぁ!てかよく生きてたねー。最高だよ!」

「どう殺されかけたのか詳しく詳しく」

便乗する友。

「女性の家に忍び込むなんてサイテーのする事よ!」

ズバッと言い切る、久しぶりに会う女友達。

女子寮と男子寮で別れているためこの祭りの日でしか会えない、のに

彼女からの最初の一言はこれである。

「覚えてたら僕からも言っておくよ、(笑い)」

「うざいから(笑い)つけんじゃねぇよ。たく、すぐにでも殺してやりたい所だが、今日は年に一度の祭りだ。我慢しといてやるよ。ということで私は学園長の所に挨拶に行ってくる」

バイバイと手を振り、この場を去って行く。

シャラン。

「僕も挨拶に行かなくては。じゃあね皆」

彼も彼女の後を追った。

二人の姿が見えなくなった後、俺たちは四人で屋台をまわった。


俺は友人同士で屋台などをまわってた筈なのに、気づけば人混みに流されて

人気の無い、校庭にいた。

「・・・・・・」

なんか疲れて、近くのベンチに座り

上を向く。

沢山の星々が綺麗に輝いている。

昨日生徒会長の家に侵入して、やられた痕が残って痛いけど、

まあこれも経験という事で。


コツン

「あ、イテ」

木彫りのライフル銃で、頭を叩かれる。

噂をすれば・・・・

「何してんだよ。こんな所でさ。お前体力無いの?」

後ろを振り向けば、呆れたような顔の生徒会長がいた。

振り向かせたいのに、俺が振り向いちゃったのは、

男として負けた気がする。


「生徒会長!いや、昨日の事思い出してたんですよ!やっぱり先輩の戦闘能力は高いなぁ憧れるなぁと改めて感じまして!」


「尊敬する前に謝罪しろ。ぐっすり夢の中の時に、気配がするもんだから起きてみれば、庭にお前がいた時の気持ちが分かるか?」


「うぅ・・・・・・だって先輩。いや生徒会長!の寝顔をみたいじゃないですか!いつも手厳しい貴方のギャップを感じたかった」

「・・・・・えぇぇ今純粋に引いたわ。まあ・・・そういう年頃と言うわけで。」

勝手に終わらせて帰ろうとする彼女に、めげずに、生徒会長の腕を掴み

「これ買ったんです!よければどうぞ!一緒に食べましょう!」

沢山の屋台の食べ物を見せると

はぁと軽いため息を吐き、いいよと優しく呟いて貰えた。


「今日はとても星が綺麗だな」

「はい・・・」

「ほんっとお前は飽きねぇな、毎回毎回」

「はい!飽きません!」


「たぁく・・・・私の事大好きかよ」

コクコクと何回も頷く。頷きすぎて今まさにヘドバン状態だ。

「あっそ」

素っ気なく、たこ焼きを一つ口にいれる生徒会長。

その姿をじぃーと見つめていると、

「食べたいのか?」

「いや、あーんして食べさせて欲しいです。あっそうだ!食べさしあいっこしましょうよ!」

「一人でやってろ」

そう言いながらも渋々熱々のたこ焼き一つを爪楊枝で刺して、

「おら、口開けろよ。開けないと私の口に行くぜ?」

「わーい♪」

あーんと俺はわくわくしながら、新婚さんみたいなあーんを想像しながら口を開けると

ズボッと勢いよく口の中に熱々のたこ焼きを押し込まれて、

口の中がヒーヒー状態

「あっふ!」

しばらく熱さと戦い、ゴクンと飲み込む。

「死ぬかと思った!。殺す気ですか!?あと思ってたのと違ったんですけど」

「ごめんなー。これぐらいでは死なないと思ってー魔がさしたんだわ(棒)」

*良い子も悪い子も真似しないで下さい。

「違う!そうじゃないんです!もっとこう平和的に。なら俺が手本を」

「いや、もういい。私はそろそろ自室に帰るよ。残りの時間は折角だから友と過ごしなさい。さぁてクソガキさん。また来年だな。会えるのは」

「・・・・・・」

しゅんと寂しい表情を俺は浮かべる。


「またすぐ会えるさ。きっといや絶対!。だって今から凄く嫌な予感がしてるから」

また強く睨まれ、苦笑いを浮かべる。


「じゃあな。食べ物、ごちそうさん」

木彫りのライフル銃を持ちながら彼女は、この場を去って行く。

(まあ来年待たなくても、女子寮まで忍び込んで会いに行くんだけどね)


俺は、はぐれた友を探しに、明るい気持ちで歩を進めるのであった。

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