異世界政治はセカイを滅ぼす。

小河理

堕落の郷土

♯00 プロローグ

 勝つ気がないんじゃないか、と思ってしまうほど重さを感じない。


 手を緩めているのか?

 

 俺の持つウィンチェスターの銃口に付く短剣と擦り合わせる音が響き渡った。

 相手の剣頭だけが滑るように地面に近づいていく。

 そして茶色いスーツのような服を着崩している男はネクタイを弛め、一歩後ろへ下がる。


「お前ら……、俺らに逆らうことがどういうことかわかっての行動か!? 」

 

 そんなことはどうでもいい。

 お前らが誰であろうと——。

 国家公務員だったとしても、俺には関係の無い話だった。

 

 俺には関係ない——。

 

 俺はこの国に拘束されない。

 この国に『属して』いない。

 この国がどうなろうと知ったこっちゃない。

 

 俺は一心不乱に声を荒らげるその男へウィンチェスターを振りかざした。

 

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