第一章11【情報は武器】

 ギルドに帰ったシュウとミラはトフウルフの特定部位を提出し、依頼を達成していた。初めての依頼だったので緊張はしたが、幸い怪我も無かったので、悪くない滑り出しと言えるだろう。


「依頼は終わったけど、この後はどうしようか?」


「俺は、少し本を読んで、今後戦うかもしれない魔物の情報を集めるよ」


「そっかー、私は本はあまり好きじゃないしなー」


 ミラは幼いころから、本を読むのはあまり好きではなく、シュウが隣で読み聞かせていたことが多かった。冒険者として情報を集めるのは、かなりの重要事項なのだが、彼女はこれから大丈夫だろうか。


「そうだ!それじゃあ私は他の冒険者達に話を聞いてこようかな」


「いいんじゃないか?その方がミラに合ってるよ」


 同意すると、ミラは笑いながらどこかへ行ってしまった。これが適材適所というやつかとシュウは考える。


 彼女は自分に比べて人当たりも良く、誰とでもすぐに仲良くなれる人間だ。自分はこの瞳を隠すためフードで顔を隠しているし、彼女に比べれば相手に不審感を持たれやすいだろう。


「もし、近いうちにEランクにランクアップをするなら、その時に討伐する魔物を確認しないとな」


 魔物図鑑を調べ、奴らの生態を探る。情報は武器だ。情報によって命が救われることは多くある。そう父さんも言っていたので、情報収集は惜しまない。


 毒蛇のような魔物、ギフトスネークを相手に注意をしなければいけない点は、牙に備わっている毒。加えて奴の皮膚の色は茂みと似ているから奇襲に注意をしなければいけない。


 暫く情報を集めていると、ミラが帰ってきた。


「何かいい情報は手に入ったか?」


「うーんとね、私が炎魔法を使うから、炎が効かないフラムベアーって魔物には注意した方がいいって言われたなー」


「フラムベアー……って、この魔物はCランク認定じゃないか。今の俺達にはまだ早いよ」


「あ、そんなにランクが高い魔物なんだ」


 一応、この魔物についての情報も記憶しておくが、役に立つのは当分先になりそうだ。



 

 * * * * *




「よし、それじゃあ、そろそろ帰ろうか」


「うん!ヴァイグルの事とか、今日の依頼の事とか、話したいこといっぱいあるよ!」


「そうだな、父さん、母さん、フランおばさんと、皆で夜ご飯を食べながらその辺の話をしよう」


 日が落ちる前にエスト村に到着するようにヴァイグルを出る。


 これからは依頼をしてランクアップを目指していくのが日常になるだろう。自分達の冒険者としての生活は、まだ始まったばかりなのだから。

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