血の匂いがする男

片眼の兎

第1話

金気臭い鉄錆びの匂い漂う色白の美しい男だった


胸を病んだ男の臓物臭い血の匂いか

其れとも

その美しさで何人もの女を殺めてきた生臭い女の血の匂いか

男の白く透き通る肌の奥には女の泣き叫ぶ顔が見える

男の病んだ胸には血の気が失せ恍惚とした表情で花びらのような口元からどろりと血を垂らした女が見える


ああ

悔しい

わたしもこの男に首を絞められたい

胸を抉られ歓喜の雄叫びを男の耳に聴かせたい


美しい男に殺められた女が

途轍もなく羨ましかった

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

血の匂いがする男 片眼の兎 @katameno-usagi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

同じコレクションの次の小説