Yes,i Fine Ep2. I.Mido
<Q.自己紹介をお願いします>
「
※ ※ ※ ※ ※
【#1 About I.Mido】
桐生「えっ」
南方「それな」
月島「この場合、グレートマザー的観念も込みやない? ダンスの大会では『災害』って呼ばれとったし」
高梁「え、そんな怖いあだ名あったんですか」
森富「初耳だった……」
日出「本人の意図しないところで話がひとり歩きしたり、でかい解釈で捉えられたりするのめっちゃ御堂っぽい」
土屋「そういう意味でミステリアスなんだよなあ、いっちゃん。でかい解釈がひとり歩きしてるせいで、本心を話してもらってもイマイチ飲み込めないというか」
桐生「それは亜樹の理解力の問題じゃないの?」
土屋「うーん、ぐうの音も出ない」
高梁「永介くん、それは言い過ぎですよ。斎くんは、多分無自覚に隠してるとこもあるので」
桐生「ええっ、そうなの!?」
南方「隠すというか、『自分の感情を理解してもらうために必要な情報』の絶対値を把握してない感じ」
森富「えーと……」
水面「くだらない雑談はめっちゃするけど、ガチの話だと言葉足らずになりやすいよねいっちゃん。自分はこうしたい! の理由の三割くらいしか話してくれないみたいな」
月島「大分ややこしい話になってきた……」
<Q.あなたはどんな人ですか?>
「最初の質問が結構難しい気が……。
ダンスバカ、なんじゃないですかね。誰かが自分のことを呼ぶときに、いちばんしっくりきたのがそれなんで。
四六時中ダンスのことしか考えてないと言っても過言ではなし、趣味のことー仕事のことーみたいなくくりで考えてる訳でもないし。
それ以外だと、本当に具体的な人間性が自分でも見えてなくて。逆に訊きたいくらいなんだよね、僕ってどういう人間ですか? って。
でも教えてもらった人間性を正解にする訳にもいかないから、難しいですね。己を知るってことは」
「自我がない、や、思想は強い方だと自覚はしてるから自我がないは変か。こだわりは強い方だけど、同時に気分屋だからこだわりを捨てたいっていう『気分』のときもある感じ? うーんややこしいな(笑)。
メンバーと話すともっと自分の輪郭がはっきりするんだけどね。ひとりで自問自答してると、どんどん変な方向に思考がいっちゃうんですよ。それこそ今みたいな感じで。やっぱり社会性で外殻作ってるタイプの人間ですね」
「生活能力の高さはやってるかどうかなんで。僕はそういうことが苦にならないタイプの人間です、苦にならないからやってる、みたいなことの割合はかなり多いですね」
※ ※ ※ ※ ※
【#2 contemplate I.Mido】
南方「実際本心は見えづらいと思う」
土屋「幼なじみのお前がそんなこと言い出したら、もう誰にも分かんないと思うんだけど……」
南方「そうでもないよ、波長っていうのはあるし。……じー……っ」
桐生「なんか見られてる……」
水面「いっちゃんといちばん波長が合ってるのは確かにえいちゃんだね。それは分かる」
桐生「そうなんだ……自覚ゼロですが……」
月島「近いとこで生きとる感じはあるなあ。土台にある価値観が同じ? みたいな?」
高梁「あまり触れられたくないでしょうが、シングル家庭、というるいじこうもく? があるからですかね」
桐生「あー……あるかも」
日出「だからと言ってふたりのその性格が家庭環境にすべて起因してるとは思えないんだよ」
森富「でもいっちゃんも永介も、性格は別に言うほど似てなくない? その、なんだろ、結論の出し方とか思考回路とかが似てる気がする」
水面「どこの駅前行っても大体似たようなビル立ちがち、みたいな感じ?」
森富「どういう比喩!?」
桐生「あ、そういうのならこの間あった」
高梁「おお、エピソードトーク」
桐生「俺もいっちゃんも、知らない場所に行くときにざっくりとした場所だけ調べて、最短ルートは調べないんだよ」
月島「なんかその感じめっちゃわかるわ」
南方「ちなみに理由は?」
桐生「え、だって道って分かんなくなったら調べるもので、方向が分かってる上で道がある内は調べる意味なくない?」
土屋「すまん、何も分からん」
森富「着く時間分かんないじゃん!? あとあとの予定に影響出たらどうするの!?」
桐生「仕事ではやらないよ、プラベの話。予定は、そのときに考えるし、大体なんとかなる」
森富「こわすぎ……」
高梁「そういう感覚が似てるんでしょうね」
水面「いっちゃん、言語化能力高いだけで隠れてるけど、素はかなり感覚派だもんね」
土屋「自分がどういう気分なのかの言語化が上手いだけであって、別に理屈で喋ってないとこがミソなんだよ」
南方「いっちゃんと付き合ってく上で、『こいつの話、さして大事なこと言ってないな?』って気付くの結構大事です」
高梁「フィーリングとミームで喋ってますよね。オタクだなあと思います」
日出「それだ、言語センスのあるオタク。感想文とか要約とかめっちゃ上手いもん、昔社会学のレポート書いてもらったことある」
桐生「嘘だろ!?」
月島「ゴーストライターやらせたん!? 自分でやれや己の課題やろ!?」
日出「なんか適当にとった社会学の授業が滅茶苦茶つまらなくて、レポート書きたくないなしてたらいっちゃんがこの題目なら書けるよってさらさら書いてくれた。A+評価だった」
森富「そこでさらさら書けるのおかしいし、A+とれるのも訳がわかんない」
土屋「ちなみに講義のテーマは?」
日出「なんだっけ、アニメーションにおける文学の文脈についてみたいなやつ」
南方「得意分野じゃん……。まああの人、親が親だから複雑でめんどくさい長くて堅い文章の書籍読むのも得意だしなあ……参考文献も読んでたのあったんだろうし……」
水面「謎の特殊能力ありすぎなんだよ、キャラ盛りまくってる」
<日出くんのレポートを書いたそうですが。>
「ありましたね、そんなこと。
もう卒業しちゃってて時効だと思うんで言いますけど、どうせあの人僕のことをゴーストライターだのなんだの言ってたでしょ? それちょっと事実とは違って、ちゃんと参考文献おすすめした上で読んでもらってあの人が書いたのを僕ががっつり添削しただけですからね?
添削といっても、あんまりな内容だったんでほぼ書き直したんですけど……ってなるとゴーストライターもあながち間違ってないのか?」
<文章書くことは得意なんですか?>
「特にこれといって……。要点をかいつまむとかが多分得意で、文章は義務教育時代に叩き込まれた知識を使って書いてるだけです。そんな、改めて勉強とかは一切してないです。
本を読むのは好きだから、インプットがアウトプットに必要な要素を補ってくれてるんだろうな、とは感じますね。うちのメンバーは侑太郎とつっきー以外、……サーシャもわりと読むかな勉強のために、兎も角その三人以外あんまり本読まないんで。漫画ですら読まない人がいるからぶっちゃけカルチャーショックでした。
ちなみに文章書くのが得意なのはつっきーだと思いますよ。ブログ記事のマネージャーチェックを文章面で素通りできてるの、確かつっきーだけだったはずなんで」
「論拠を元に文章を書くこと自体、それを苦手と感じることの方が謎なんですよね。あるものを書くだけ、既に色んなことを考えてるから文章に書き起こすだけだと思ってます。……って言ったら大体『既に色んなことは考えてない』って言われるんですよ、これを言ったのは日出ですけど。えーそうなのー? ってびっくりした記憶があります。思考に空白時間があるってことですよね? それが普通なんですか?」
土屋「いっちゃん見てると、ストイックさと自由さって両立するもんなんだなあ、って実感する。絶対反対の要素だと思ってたのに」
日出「マイペースかつストイック、は普通にあると思う。そもそもマイペースさがないと、ストイックにはやっていけないだろうし」
土屋「それもそうか」
水面「いっちゃんの怖いところは、どれだけ体内時計狂わされても最終的に合わせてくるとこなんだよ。この時間にご飯食べる、寝る、みたいなことできない仕事じゃんアイドルって」
桐生「確実に不可能だね」
水面「でもいっちゃんって逆算して考えるから、寝る何時間前なら食べてもいい、消化吸収効率考えるとこれを食べるといい、今から寝ると何時間眠れるから、みたいなことをずっと考えてるんだよ」
森富「ずっとって、ずっと?」
水面「ずっと。それしか考えてないって前言ってた」
森富「こっわ! え、じゃあなんでそんな計画的なのに道調べたりとかノープランで旅行したりとかできるの? 怖くない?」
月島「回路がちゃうんやろな、としか言えへんけど……」
森富「えー……」
南方「案外知られてないけど、あの人俺よりマルチタスク得意だから、同時に思考が四つくらい並走してるんだよ。だからずっと健康のこと考えてはいるけど、同じように別のことも考えてるんだろうね」
高梁「脳ミソ、バグりそうですね。ぶしゅー、あちあち、みたいな」
桐生「オーバーヒートって言いたいのか」
高梁「それです! おーばーひーと!」
月島「だから虚無虚無タイムがあるんやろうな。たまにマジで起きてるのに寝てる、みたいな時あるし。あと踊ると頭空っぽにできるとか」
桐生「休みの日に踊りっぱなしってそういう……」
<日頃健康面で気を付けていることはありますか?>
「また毛色の違った質問ですねー。
『冷やさない』と『消化に気を付ける』かな、大枠で捉えると。
冷えは万病のもと、って言うじゃないですか。実際その通りで内臓の動きも悪くなるし、怪我もしやすくなる。だから夏でも水やお茶は常温にしたり、できる限り温かい料理を食べるってのは大事にしてます。
消化に関しては、なんていうか、基本胃腸の調子が良かったら他の調子も満遍なく良くなると思ってて。肌ツヤも良くなるし、栄養の吸収も良くなる、免疫だって上がるし。
だから気を付けてるのは主に二つですね。あとはまあ、やれたらやろうくらいで」
<思考が止まらないタイプなんですか?>
「あ、さっきの頭の空白云々の話の延長線上みたいな話きた。多分これが回答になり得るんですよね。
それより、思考が『止まらない』っていう言葉はわりとしっくりくるな。侑太郎なんかはマルチタスクって言ってくれるんですけど、そんな整然としたものじゃないです、濁流に近いかな。
いくつかの思考の川があるんじゃなく、一本の川に色んな川の水が流れてくるイメージ。そんなんなんで、いつもテンパってます(笑)」
「本当なら好きなことだけ考えていたいし、考えなきゃいけないことがあるときはそれしか考えていたくないんですけど、どうにもそれが難しい体質らしくて。無理矢理全部形にしようとすると、なんかハイパーマルチタスクマンみたいになるっぽいです。変ですよねこれ、人類のバグですよ。本当やになっちゃう」
<自分のことが苦手ですか?>
「死ぬほど核心に迫った質問だ!
うわ、これ、えーん、アイドルにする質問じゃないよー、なんて答えても燃える未来しかないよー、えーん。
まあ答えるんですが。苦手といえば苦手ですけど、それは特性がピーキーだからなんですよね。思考が止まらない体質だから過集中になったり、妙なところで異常な気分屋だったりひたすら生真面目だったり、聴覚や触覚が過敏だったり、扱いづらいなと我ながら思います。運転技術がめちゃ必要な車に乗ってる気分。
だけど気に入ってない訳ではないんですよ。むしろこの20年をかけてオキニにしていった感じ。扱いづらかった体質、性質、特質の運転のコツを体当たりで習得して、まあ自分の体のことなんで体当たりしか習得方法ないんですけど、ちゃんと乗りこなせるようになったのが今の僕。つまり御堂斎完全体が今で、尚進化を残してるって感じですねえ」
「ひとには僕のことを苦手だ嫌いだ分からない怖い、って考える人がいると思います。沢山いると思ってる。そういうひとたちは、そういうひとたちでしょうがない。僕はアイドルで沢山の人に愛されるのを絶対的命題として業務に励んでますけど、それは僕の業務義務の話であって一般の方々の受け入れ方の問題じゃないので。
なんでまあ、危害さえ加えてこなければ。あと事務所が怒らないレベルだったら、別に何でもいいです。苦手だ嫌いだ分からない怖いって思ってても、人間ってそういうものだから」
※ ※ ※ ※ ※
【#3 Sum up I.Mido】
月島「結論を出すお時間がやってきましたわ」
桐生「今回滅茶苦茶難しくない?」
土屋「『御堂斎=○○』の形で出せない気がするんだけど」
南方「出すしかない、しょうがない、そういう趣旨だもの」
高梁「私はですねー、斎くん、生きづらそうだなーと思いました」
水面「いきなり鋭い指摘」
日出「あ、それは俺も思った。この世界を生きるのには多少しんどそう」
森富「やになったりしないのかなあ……」
南方「してると思うよ」
桐生「そりゃしてるだろ。嫌になりながらも、何とかしてるんだろうね。すごい人だ」
水面「そんなすごい人につけるキャッチコピーが本当に難しいんですが」
南方「御堂斎は、普通の人間だ、とかどう?」
森富「あえて?」
南方「あえて。というか俺らにとっては普通の人間だし友達だしメンバーで、それより上でも下でもないじゃん?」
月島「もっともやなあ……これでええんやない?」
日出「異議なし」
高梁「そうですね、斎くんは斎くんです」
南方「では決定ということで。せーの、」
一同『御堂斎=普通の人間、だ!』
<Q.御堂斎=○○?>
「『ただのダンスバカ』です。
色々言われてる気がするけど、どういう人間かっていう問いに対してはこれ以上適した言葉を持ってない。ダンスに情熱を持って、人生を懸けてる普通の男です、僕は。
ひとつ補足するならread i Fineになってから、もっと普通の男になれてる気がする。そりゃ生活は一変したけど、内に内に入ってた『自分』がちょっとずつ外に出せて、……昔なら雑談すらできなかったと思うけど、今は何でもないことでも自分の意見を持って喋ることができてる。それは我ながら、とんでもない進化だと思うんですよ。
そういう意味ではメンバーにも、"
まあ良いか。これからもよろしくお願いします、またお会いしましょう」
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