オルゴール人形

わたしが最初の子どもを身籠みごもった時

両親がとても喜んでくれて

麦わら帽をかぶって

髪を三つ編みにした

小さな女の子のオルゴール人形を

プレゼントしてくれた


伏せ目がちの柔らかな表情の

その顔がなんとも可愛らしくて

わたしに贈りたいと思ったと

母は微笑んで言った

全てが幸せに満ちていたような日々


ひさしぶりに

オルゴール人形の背中のネジを巻いた

「いつか王子さまが」という曲が流れる


わたしは三人の息子たちの母になり

月日は流れて

孫たちを慈しみ心配してくれた

両親は天に召されて

今はもういない


人形の毛糸でできた髪をかして

その頬にそっと触れてみると

あの日の情景が昨日のように

思いだされる


懐かしくて戻らない日々は

甘やかに切なく

この曲が鳴り終わるまで

せめて、と

わたしは目を閉じる

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