オルゴール人形
わたしが最初の子どもを
両親がとても喜んでくれて
麦わら帽をかぶって
髪を三つ編みにした
小さな女の子のオルゴール人形を
プレゼントしてくれた
伏せ目がちの柔らかな表情の
その顔がなんとも可愛らしくて
わたしに贈りたいと思ったと
母は微笑んで言った
全てが幸せに満ちていたような日々
ひさしぶりに
オルゴール人形の背中のネジを巻いた
「いつか王子さまが」という曲が流れる
わたしは三人の息子たちの母になり
月日は流れて
孫たちを慈しみ心配してくれた
両親は天に召されて
今はもういない
人形の毛糸でできた髪を
その頬にそっと触れてみると
あの日の情景が昨日のように
思いだされる
懐かしくて戻らない日々は
甘やかに切なく
この曲が鳴り終わるまで
せめて、と
わたしは目を閉じる
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます