珈琲の香り

偶然見つけた、その喫茶店は

あなたと昔、一緒に入ったお店と

同じ名前だった


静かな店内

珈琲の香りが漂う

あなたはブラックで

わたしはミルクを入れて


同じなのは名前だけなのに

瞬間、時をさかのぼって

あの頃の幻をみていた


今、わたしはミルクを入れない

ブラック珈琲の苦さにも

すっかり慣れた


あなたはいない


一人で喫茶店に入るのも

当たり前になった


静かな店内に


珈琲の香りが漂う

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