透明な鳥籠

昔、鳥だった記憶は

今では夢のよう

確かにあったはずの翼は

二本の腕になった


羽根も抜け落ちたけど

それでもいいと思ってた

あなたの側なら

空を飛べなくても

幸せだったから



 ずっと一緒だと約束したのに

 もう、あなたはいない

 わたしを残して

 何処にもいなくなった



此処にいるのはわたし

翼を失った

鳥だったわたし


昔、鳥だった証は

この鳥籠だけ

それさえ透明になって

今では見えるのはわたしだけ


捨ててしまえばいいのに

捨てられないの

透明な鳥籠


鳥だったわたしは

翼のかわりに

両手を羽ばたかせる

飛べはしないけど


そうして


透明な鳥籠のなかで

時々

あなたの夢をみるの

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