炎陽

灼熱の太陽が

アスファルトをジリジリと

焼いている

歩くごとに

汗がジワジワと滲んで

何度も立ち止まる

随分、弱くなってしまったものだ

日傘の影だけを救いにして

バス停まで急ぐ

携帯している水を

ひと口飲んで

深く息を吐く


夏は暑くても

もっとワクワクするような

季節だったはずなのに

海にプールに水族館

花火大会に祭りに縁日

なんだか遙か遠くのことみたい


色とりどりの水ヨーヨー

リンゴ飴に綿菓子に

金魚すくいは下手だったけど

泳ぐ姿を飽きず眺めたり

人混みを離れないように

浴衣と慣れない下駄は

恥ずかしいけど嬉しくて

ワクワクが詰まった

夏休みの日々


思い出だから

優しく美しいのか

懐かしいあの夏は



猛暑でまた人が倒れたと

ニュースで流れる

熱中症警戒アラートが発令される

あと一週間は続くそうだ


こんな、夏


やっときたバスに逃げ込んで

冷房にひと息つく


夏を楽しむよりも

夏を生き延びることを

考えている自分が

さみしい

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