金魚の浴衣と銀の鈴
今でも
あの銀の鈴のことを
思い出すことがある
両親に連れられて行った
祭りの縁日
金魚模様の浴衣のわたしは
まだ、
兵児帯をふんわりと
金魚の尾びれみたいに
結んでもらってご機嫌
たくさんの鈴を売っている屋台に
目を奪われている
大きな鈴、小さな鈴、
金の鈴、銀の鈴、色とりどりの紐付き
音色も無数
まろやかだったり、端正だったり
カランカラン、シャンシャン
中にひとつ
朱色の紐がついた丸っこい鈴
振ってみると
澄んだ音色でチリンチリンと鳴った
よほど握りしめて
欲しそうな顔をしていたのか
父が買ってくれて
母が兵児帯を少し結び直して
鈴をつけてくれた
歩くたびに
チリン
跳んでみても
チリン
嬉しくて
嬉しくて
嬉しくて
朱色の紐がついた銀の鈴
チリン
という柔らかな音
あんなに大切にしていたのに
いつ失くしてしまったのだろうか
父の声
母の笑い声
祭りのざわめき
チリン
銀の鈴をつけた
浴衣姿のわたしが跳ねる
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます