金魚の浴衣と銀の鈴

今でも

あの銀の鈴のことを

思い出すことがある


両親に連れられて行った

祭りの縁日


金魚模様の浴衣のわたしは

まだ、三歳みっつ四歳よっつ

兵児帯をふんわりと

金魚の尾びれみたいに

結んでもらってご機嫌


たくさんの鈴を売っている屋台に

目を奪われている

大きな鈴、小さな鈴、

金の鈴、銀の鈴、色とりどりの紐付き

音色も無数

まろやかだったり、端正だったり

カランカラン、シャンシャン



中にひとつ

朱色の紐がついた丸っこい鈴

振ってみると

澄んだ音色でチリンチリンと鳴った


よほど握りしめて

欲しそうな顔をしていたのか

父が買ってくれて

母が兵児帯を少し結び直して

鈴をつけてくれた


歩くたびに

チリン

跳んでみても

チリン

嬉しくて

嬉しくて

嬉しくて



朱色の紐がついた銀の鈴

チリン

という柔らかな音


あんなに大切にしていたのに

いつ失くしてしまったのだろうか


父の声

母の笑い声


祭りのざわめき


チリン


銀の鈴をつけた

浴衣姿のわたしが跳ねる

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