寝取られ性癖の幼馴染に一生甘い言葉を囁いてデレさせると最高に可愛い。

ゆきゆめ

第1話 寝取られ性癖

「双葉はどうして寝取られ性癖になったんだ?」


 あらかじめ言っておく。


 俺の幼馴染であり恋人でもある女の子——白月双葉しろつきふたばは寝取られ性癖である。


 つまりは、恋人が寝取られることを妄想して興奮するヘンタイだ。


 俺にはまったく理解できない特殊性癖だが、残念ながら俺の彼女はそうなのだ。


 それを踏まえて、この物語は読んでほしい。


「オ○ニー」


「は?」


「きっかけは、オ○ニーだった」


 ベッドの端に座る双葉は静々と語りだす。


 今日は日曜日。

 大学生である俺たちにとっては、のんびりと羽を伸ばせる貴重な休日。

 お互いにサークルもバイトもなかったため、双葉は俺の部屋に遊びに来ていた。


 まぁ、有り体にいえばお家デートだ。


「あなたと付き合うよりずっと前のお話。ネットでその存在を知った私は、ふつうにあなたのことを考えてオ○ニーをしていたの」


「お、おう。そうなのか……」


 何気なく振ってしまった話題に想像を遥かに超えたセンシティブな返答をされて面食らう。


 いや、性癖の原点とか恋人に聞くことじゃないだろ。俺が間違ってたわ。


「でもどこか物足りなくて。満足できなくて」


 淡々と語る双葉は止まらない。


「ある時、あなたが他の女の子とセッ○スしているという妄想をした」

「え……」


 俺が、双葉じゃなくて他の女の子と?

 想像するだけで胸がキュッと締め付けられる。


「苦しかった」


 しかし、双葉にとってはそれだけじゃなかった。


「死ぬほど悔しくて、悲しくて、胸が痛くて。わたしボロボロに泣いてたけど、でも……人生で一番気持ちよかった」


「……ッ」


 双葉はそっと俺の手を握って、微笑む。

 

「それ以来、あなたが寝取られることを考えないと絶頂できない」


 話しながら俺が寝取られることを想像してしまったのだろう。

 その頬はわずかな上気を孕み、悩ましげな吐息が漏れていた。


「だから、早く寝取られてよ」


「イヤだね」


 即答する。


「どうして? それが恋人である私の望みなんだよ?」


「双葉が好きだから」


「…………もぉ」


 双葉はちょっと怒ったかのように眉をひそめて、顔を逸らした。


「愛してる」


 俺は知っているのだ。


「俺には双葉だけだから」


 彼女は、俺が寝取られる妄想で死ぬほど苦しくて、死ぬほど気持ちよくなれる。


 それって、逆に言えばこういうことにもなるよな?


「一生一緒にいよう」


 白月双葉は、死ぬほど俺のことが好きである——。


 死ねほど俺のことが好きだからこそ、その性癖は成り立つ。

 どうでもいい相手だったら、寝取られたとしても双葉はその癖の虜にならなかったはずだから。


「な、なに言ってるの。伊吹いぶきはいつもそうやって、恥ずかしいことばかり言う」


「俺がわからず屋の寝取られ性癖さんにできることはこれくらいだからな」


「ふ、ふーん。そんなに私のことが好き……なんだね」


 逸らしたままの顔。

 髪の隙間から見える首筋や、耳までもが赤く染まっているのがわかる。


「照れてる?」

「て、照れてなんかないし……!」


 慌てたようすでこちらを向き直した双葉の顔は、やはり熟れたリンゴのように真っ赤だった。


「やっぱり照れてる。可愛いな」

「〜〜〜〜っ。伊吹はまたそう言うことを言う……さっさと寝取られちゃえばいい」

「苦しくて、気持ちいいから?」

「……うん」


 俺は優しく彼女の背中を抱いて、キスをする。双葉は抵抗なく、それを受け入れた。


「……えっち、する?」

「お、いいのか?」


 彼女から誘ってくれることは非常に珍しい。


「私、下手だし、どうせ気持ちよくなれないけど……」

「いやいや、そんなことないと思うが?」


 双葉曰く、寝取られ妄想じゃないと気持ちよくなれない。オ○ニーの時であればそれは事実なのかもしれない。


 だけど俺が触れていいのなら話はべつ。


 双葉はいつもこれ以上ないくらいに乱れている。


 それこそ、記憶が飛ぶほどに。


「そ、そんなことない。私、気持ちよくなんて……」

「じゃあやめるか?」

「…………する。って、言ってる」


 ああ、可愛いなぁ!


 俺はたまらなくなって、双葉をベッドに押し倒す。


「ちなみに俺は、いつもめちゃくちゃ気持ちいいよ」

「……他の女の子とえっちしたら、きっともうそんなこと言えないし」

「しないからいいし」

「——んっ」


 再度のキスで口を塞ぐ。


 今度はディープに、唾液を交わらせる。


「もっと、して……」

「ああ……」


 今日はもうこれだけで1日終わってしまうかな。


 最高に可愛い恋人との最高の休日だ。


「——お兄ちゃーん、掃除に来たよ〜」


「あ……?」


 そのとき、部屋のドアが無造作に開かれた。


 俺は自由気ままな1人暮らしだが、世話焼きの妹がときたまふらっと掃除に来るのだ……!


 双葉とふたり、慌てて居住いを正す。


「また今度だね。大丈夫。こういうフラストレーションも寝取られに繋がるから」


「いや、なんだよそれ」


「あなたが寝取られる日を楽しみに待ってる」


 乱れた服を着直しながら、双葉は微笑んだ。



 ☆



 その晩。

 自分の部屋に帰った双葉は裸でベッドに寝転んでいた。


 細くしなやかな指は下半身へ。


「……ッ♡ 〜〜〜〜っ♡♡♡」


 ピンッと双葉の脚がつま先まで伸びる。


「はぁ……はぁ……はぁ……〜〜♡♡」


 また、やってしまった。


 瞳からは止めどなく涙が溢れる。


 あんなふうに寸止めされたら、仕方ないよね。


「…………ごめんなさい」


 双葉にだって、罪悪感はあるのだ。


 あんなに愛してもらっているのに、こんな想像をするなんて、最低だ。


「だけど……」


 ああ、もしも大好きな彼が、バイト先の可愛いあの子に、サークルの美しいお姉さんに、あるいは私も未だ知らない誰かに、寝取られてしまったら……


「あはぁぁぁぁぁああ……♡♡♡」


 どんなに気持ちがいいだろう。


 そう思うこの心の業は、止めようがない。





———————



思いつきのお試し1話?


書いちゃったのでもったいないから上げときます。


もし☆レビュー、PV良さそうなら続けるかも。

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寝取られ性癖の幼馴染に一生甘い言葉を囁いてデレさせると最高に可愛い。 ゆきゆめ @mochizuki_3314

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