ライバル令嬢に転生しましたが、主人公が思ってたのと違う。
@Iwannacry
第1話 主人公は本当に主人公なのか
前略 異世界転生しました。
階段から落ちた途端、知らない走馬灯が見えたのは夢ではなかったようで、今はふかふかのベッドの中で天蓋を見つめている。
綺麗な手に赤色の髪、明らかに日本とは思えない豪華すぎるラグジュアリーな一室。
どうやら私は、前世でやった乙女ゲー、「レディアント・マイレディ」の世界に転生してしまったようです。
案の定私はヒロインじゃなくてライバル令嬢。よくある話すぎてなんと言えばいいのやら……
しかし!思い出したのがゲームスタート前で助かった。
前世でCP物二次創作するのが大好きだった私。お見合いおばさんの名に掛けて、主人公と攻略対象の仲を取り持ってやるわ!
待ってなさい、攻略対象達!私が恋のキューピッドになるんだから!!
◆◆◆
今日は入学式=オープニング。
主人公は校門をくぐった所、昨日降った雨で濡れた石畳で転びそうになり、そこを第一攻略対象のレオに助けられるという大ッ切なシーンが!待っている!の!よ!!
これを見逃すわけにはいかない。ちゃんとレディレディの世界なのかを確認するためには強制イベントの回収は必須。
珍しく早い時間から起きて登校しては、生け垣の影から登校する生徒を眺めた。
…
……
………
全然来ないわね……主人公のヘアスタイルは銀のさらさらロングヘアーを一房だけ三つ編みにして、髪飾りには細やかな装飾の付いた金のヘアカフス!
顔は誰もが見惚れる超絶美少女だから、転ぶシーンがなくとも分かるはず……なのに、一向に現れないのはどういう事?もしかしてこの世界はレディレディじゃない?
もう集合まで時間も無い。物陰に潜んでいるとはいえ、人の目が気になってしまうくらいには居続けてしまったわ。
仕方がないから明日の自己紹介の時間に賭ける事にしましょう。確かクラスは同じはずだから、名前がデフォルトの限り出会えるはずよ!待ってなさい、イリス・エアライネン!!
◆◆◆
「イリス・エアライネンです。よろしくお願います。」
淡々とした声が教室に響く。
いた!いたけど……私の知ってる主人公ではない!
さらさらのはずのロングヘアーは、見るからに手入れされていない雑に切られたショートヘアに。
きらきらした月のような瞳は分厚い眼鏡に隠されてしまっている。
名前がデフォルトじゃなかったら数ヶ月は気づかなかったわ。絶対。
それに何より………隣の席だったなんて………!座ったときに挨拶しちゃったわよもう!
でもこれは千載一遇のチャンスってもんよ………!絶対にイリスを美少女にしてイリスの好きな人とくっつけてやるんだから………!
私は机の下でぐっと拳に力を入れた。ちょっと爪が痛かった。
◆◆◆
「エアライネンさん?もしよければこの後一緒にお昼でもいかがかしら。席が隣なのもなにかの縁だと思うの。」
決まった……ローズマリー・アーイルシダンの完璧スマイル………!
イリス程ではないにしても私も美少女なのよ!
ゲームの心根優しい彼女なら断るはずがないわ!今はちょっと怪しいけど………
「ああ………ちょっと先生に呼ばれてるんで厳しいですね。」
な、なんと……出鼻をくじかれたわ。
でも先生に呼ばれたのなら仕方ないわね。ここは一旦引いて……
「でも、せっかくのお誘いを無下にはしたくないですね。明日はご一緒してもいいですか?」
あ〜〜〜背景に花が散ってる〜〜〜!!!幻覚だけど~~!!
少し上がった口角がキャラビジュのイリスと重なる。いやこんなパーツだけが重なるわけがない。幻覚だ。
台詞はただ丁寧に返答しているだけなのにここまで脈アリ感を感じるのは何故!主人公だから!?推しだから!?
見た目は全然違うのに、口調も違うのにどうしてこんなにも―――
ハッ!ぱさぱさ髪の分厚い丸眼鏡っ子なのにこんなにも心を乱すなんて………主人公………おそろしい子!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます