紅の色~くれないの色~

夢月みつき

第1話「不思議な黒猫との出会い」

◇短編小説「紅の色-くれないの色」登場人物紹介◇


NO.1 朱井 姫菜-しゅい ひめな

中学二年生。主人公。人と魔女のハーフで、半人前の魔女。赤い髪と目の色がコンプレックス。


挿絵イラスト・AIアプリ

https://kakuyomu.jp/users/ca8000k/news/16817330657383664974


NO.2 朱井 亜矢音-しゅい あやね

姫菜と10歳違いの姉。人と魔女のハーフ。気が強いが妹思いで、亡くなった両親の代わりに妹の面倒を見ている。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


人と魔女の間に産まれた、あたし。

生まれつきの血のような色の赤毛と、目の色がコンプレックスで、大嫌いだった。



あたしの名前は、「朱井しゅい姫菜ひめな」只今、食べることの次に好きな睡眠を楽しんでいます。

「こらーっ! 姫菜起きなさーい」

惰眠だみんをむさぼるあたしを、けたたましい声で叩き起こしたのは、姉の「朱井しゅい亜矢音あやね」でした。

「もうっ、何時だと思っているの! 私も、今月は特に忙しいんだからっ」



姫菜は眠い目をこすりながら起きた。

「はよー、アヤ姉」

「はいはい、おはよう」

「でもさー、そんなのお得意の魔法で出勤すればいいじゃん?」

「バカねえ、あんた。人に魔女だって、知れたらおおごとよっ?このアパートにも、いられなくなるのよ」

亜矢音は、腰に片手をそえて姫菜を指差した。


その瞬間、姫菜は光に包まれて、ブレザーの姿に。

髪も、いつものポニーテールに綺麗に整えられていた。


姉の見事な魔法に頬を染め、思わずうなる。

「う~んっ。アヤ姉ありがとっ! 今度、この魔法おしえてーっ」

語尾にハートマークを付けて可愛らしく、頼んでみるが。

「ダーメ! あんたの教育のためによくない。今回だけよ?」ピシャリと断られた。



蘭間らんま中学校の正門前で、体育教師の小林が、生徒達の服装チェックをしていた。

「ヤだっ! 今日は、コバセンだーっ!!」

姫菜は思わず、鼻の頭にしわを寄せた。小林は2年から就任してきて

姫菜の赤い髪と、目の色を校則違反として、不良生徒と決めつけていた。


それを思うとゆううつになり、遠目で小林を警戒しながら

校舎へ近道のフェンスをよじ登ると、内側に飛び降りた。

「ギャン!!」


足元から短い叫び声が聞こえた。

「ぎゃあっ! 何、何っっ!?」

びっくりして足元を見ると、黒猫の尻尾を踏んづけていて猫は、こちらを睨んでうなっていた。

「ああっ。ねこ! ごっめーん」


慌てて姫菜は、猫の尻尾から足をどけた。

「いって! ごめんじゃねえよ」

何と、猫がしゃべった。みるみる、人の姿に変わる。

「あっ、ねこが男の子になった!?」


姫菜が驚いていると少年は、お尻を撫でながら姫菜をにらんだ。

「ったく! 人が昼寝してたら、これかよ! 重いんだよ。」

少年はべっと舌を小さく出すと、校舎に駆けていった。

「ムキ―ッ! ヤなヤツーーー! 誰が重いのよ」



始まりのチャイムが鳴り響いた。

「いっけなーい。こんなこと、してる場合じゃなかった!」

姫菜も慌てて、校舎に向かって駆けだした。

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