第17話 私、働く
その日の晩、レモは妹に相談した。
「私、お金、触ったことない。今日、大切わかった。私、働く、そして、お金、十和子に渡す。」
それを聞いて、妹は、「お前は、お姫様か!」とツッコミを入れたくなったが、レモの真剣な表情にこらえた。
「そんな事、気にしなくていいのに。まあそうね・・・じゃあ、レモちゃんの得意なことって、魔法以外で何かある?」
「弓矢得意。剣術好き。踊りできる。足速い。」
「う~ん、そうね・・・」
妹は、バイト先を親にはカフェと伝えているが、本当は、まかない付きで時給が良く、人心掌握とコントロールの勉強になると思い、メイド喫茶でバイトをしている。それで、店長に頼んでみようかとも思ったが、レモちゃんがメイド服を着たら、お店ナンバー1を自負する自分の地位が危うくなるかも、着替えでほかの子にエルフとバレそうだ、そもそも、レモちゃんの年齢を証明するものもないかと思考し、それならいっそ、自分が、レモちゃんをメインに「異世界エルフ喫茶 ワララド」を経営したらどうだろう。
「王子様、おかえりなさいませ。」とレモちゃんが、迎えたら多くの男性の心を掌握できるのでは。そうだ、世平お兄ちゃんに、3,4人送ってもらって、安い給料で・・・
「令華、難しい?」とのレモの声で、夢想の世界から現実に戻った妹は、「いろいろ障害があるから、やっぱり、お父さんに話してみるわ。」
「ありがとう。よろしくお願いします。仕事して、ピースにパフェ食べさせたい。」
ピース、ああ平和のことか、今日のジャンボパフェの代金の出処は、お母さんだろうに、まあいいか。その内、私の誕生日プレゼントもすり込んどこう、と妹は考えた。
ベッドの上での夫婦の会話。
「令華から聞いたんだが、レモちゃんが、働きたいそうだ。」
「そう、それは良いことね。若い子が、ずっと家の中にいるのは、健康的じゃないし、言葉もだいぶ上手くなったことだし、でも、普通のところでは、難しいでしょ。」
「うん、身分証もなにもないからね。やっぱり姉貴に頼るしかないかな。」
「そうね。お姉さんとこなら、自転車でも行けるし、自営業だから、短時間のお手伝いとかできそうね。」
「明日、レモちゃんと行って、頼んでみるよ。いずれ世平のことも伝えようと思っていたからね。」
「お姉さん、頼られると嫌と言えないタイプだから、可愛い弟からだと特にね。」
「そうかな。じゃあ、明日キラキラした表情で頼んでみるよ。おやすみ。」
「おやすみなさい。平ちゃん。」
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