第12話 絶体絶命
じりじりと近づいてくる周囲を取り囲んでいる魔獣達。
エリゼと遙の変化した魔獣も徐々に瀬那たちに向け歩いてくる。
依然として武器を向けるも、攻撃を加えることができない一同。
そんな一同をあざ笑うかのように全員に通信が入る。
『あらあら…かわいそうね~』
ウル『何者だ!?』
瑠衣『この通信回線…エリゼさんのものですね…。今回の魔獣の事件あなたがやったのですか?』
『簡単には教えな~い…。つもりだったけど、このままやられちゃいそうだし何も知らないまま死ぬのはかわいそうだから教えてあげちゃうわね?』
そして、通信から聞こえる女らしき人物からことのあらましを告げられる。
『私はリアン…リコンのお友達ってことで覚えてもらえるといいかもねぇ~。今回の魔獣達…私が実験で作り上げた傑作を人に与えることで変異させるの?すばらしいでしょ?手軽に戦力が補強できる!リコンが必死に材料を集めて作り上げて戦力を補強してたけど無駄だったわけ…。でも、リコンも1つは役にたったかな?彗星を落としてくれたことだけ…』
琳『どこにいる!出てこい!』
リアン『あらあら?私に構ってる暇あるの?ぼーっとしてるとお仲間にやられちゃうわよ?』
琳『クッ!』
遙の攻撃が琳の魔法装甲を掠める。
リアン『このまま、あなたたちがやられるのを見るのも面白いけど…私も暇じゃないからね。もし、無事に切り抜けられたらまた会うこともあるかもしれないわね?あっ、そうそう。人が魔獣化して時間が経つと完全に元に戻れなくなるわそれに核を完全につぶしてもね。あなた達が苦しむ姿みれないのは残念だけど…それじゃ、頑張ってね~』
そして通信が切れる。
魔獣「クル…シイ…」
瀬那「嫌…」
魔獣「タス…ケ…テ……。セ…ナ…。ウ…ル…」
瀬那「嫌ぁ…どうすればいいのぉ!」
魔獣を攻撃しようとするも魔獣がしゃべり始めたのだ。
手持ちの武器を撃つも地面に向かってしか打つことができなかった。
魔獣「ハヤク…イシキ…ガ…」
ラウ「チクショウ!どうすればいいんだ!」
そして周囲からもタスケテやクルシイなどの声が聞こえてくる。
耳を塞ぎたくなる状況…絶望的な状況から瑠衣の思考は止まってしまっていた。
ソアラ『総司令!』
瑠衣『ハッ!』
ソアラ『もう、覚悟を決めるしかありません…。魔獣を駆逐し、生き残るか…。魔獣にやられこのまま全滅するか…』
瑠衣『……』
ソアラ『私は生き残る方を推薦します。我らがここで全滅すればこの魔獣達は攻撃対象を求めて周囲の街へ行くでしょう…。この魔獣に対応できるのは今我らだけです…』
瑠衣『…わかりました。彼が救ったこの地球をリコン達の好きにする訳にはいきませんからね…。全隊に通達する!眼前の魔獣をすべて排除し、この場を切り抜ける!皆のつらい気持ちはわかる。しかし、今は生き残ること…周囲の街の安全確保を優先する!』
全員からの返答はない。
返事をするということは目の前の仲間や元人だった者たちを見捨てるということだからだ。
だが、瑠衣の決定もまた間違っていない。
葛藤に陥っていたハバキリのメンバー達に更に追い打ちをかけてきたのは周囲を包囲している魔獣達だった。
範囲が狭まるごとに近づいている魔獣達が共食いを始めたのだ。
いや、元人間だった人工の魔獣が通常の魔獣を取り込んでいったという方が正しいのだろう。
獣に近かった人工の魔獣達は、その姿を徐々に変えていき人型に近いフォルムになる。
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