第6話 異常な魔獣

2体を倒し終えた一同が残りを倒そうとした時だった。

瀬那の背後から新たに魔獣が出現したのである。




綺『瀬那ちゃん!危ない!』

瀬那「キャァ!」



綺が警告するが間に合わなかった。

瀬那の魔法装甲は魔獣に捕まり拘束される。




ウル『馬鹿な!一体何処から!蒼穹!探知出来なかったのか!』

『そ、それが!突然現れて…。今皆さんが相手をしている魔獣も今出現した魔獣もレーダーが反応してないんです!』

ウル『此方も反応しないから故障かと思ったが違うようだな…』




そして、そんな一同へ更に追い討ちをかけるように魔法装甲から警告音が鳴り響く。




黒鋼:これ以上バーストモードを発動すれば動けなくなる!

ウル『だが、魔獣はまだ倒せていない!それにアイツも助けなければ!』

黒鋼:このままだと、全員共倒れだ!どれかを選べ、でなければ全員死ぬぞ。

琳『ウル!彼女を助けにいけ!こっちは俺らで何とかする!』

パス:推奨できません。戦っている個体は先程撃破した個体とはまた違う感じがします。

戦力を減らすことは撃破に影響すると推測します。

アイ:今の攻撃の結果。目の前の魔獣はバーストモードの残りの制限時間内で倒せる確率は50%程です。魔獣の再生能力が予想を上回っています。

綺『そんな!』




絶望的な条件、そして状況…打開する策は無いかに思えていた。



クルール『諦めますか?』

ウル『馬鹿を言うな…。アイツなら…この状況でも打開する策を思いつく筈だ!』

ラナ『でも、隊長はあの人ではない!』

ウル『そうだな…。これから無茶をする。撤退したいものは撤退しろ』

琳『馬鹿を言うなよ?』

綺『撤退するなら全員で…でしょ?』

クルール『無茶するのはいつもの事だし…』

ラナ『ついて行かないとでも思ってますか?』




全員撤退する気はないとわかると、ウルはフッと笑い命令を下した。



ウル『こらから眼前の魔獣の核を直接攻撃する!今から指示する事を頼む!』



その言葉に全員の表情が変わった。



ウル『蒼穹、主砲発射を頼む!』

『しかし、ここは市街地に近い場所!この艦の主砲の威力の武器の使用許可はまだ…』

ウル『ウダウダ言うな!責任は俺がとる!』

瑠衣『……わかりました。主砲の使用を!目標は魔獣コア付近!』

『わ、わかりました!主砲、充填!行けます!』

瑠衣『撃てー!』



蒼穹の主砲が発射され魔獣のコア付近の肉が抉り取られる。

だが、瞬時に再生を始めました。



ウル『3人は今できた穴を閉じないよう持てる火力を叩き込め!』

綺、ラナ、クルール『了解!』



再生し始めた傷口を閉じない様に攻撃を開始する。



ウル『黒鋼!マナブレードの応用で行く!今回は両手に固着させろ!』

黒鋼:了解した。




両腕にマナを固着させ強固にする。

手刀の構えを見せると、両腕で魔獣の傷口に突き刺し、更に抉っていく。

魔獣は暴れ出し、黒鋼を振り落とそうとするがそれは叶わなかった。

深く抉り取られた肉体の奥に、魔核が確認できた。

だが、徐々に再生が始まっていた為せっかく切り広げられた傷口が狭まっていく。



ウル『今だ!』



ダーン!




黒鋼の背後から、銃声のような音が聞こえたのち僅かに空いていた穴に弾丸が打ち込まれる。

パリンという音が聞こえた後、魔獣はついに地面に倒れた。




琳『ふぅ…』

ウル『一息入れている暇はない!アイツを助けに行く!』



黒鋼を動かそうとした時だった。



黒鋼:ダメだ!これ以上の魔力の消費は安定可動域を下回る!

ウル『クソッ!』

綺『それだけじゃない!周囲から魔物が!』

琳『なんだよ…コレ!』



先に倒した魔獣は原形を残していたが、今倒した魔獣はドロドロに溶け始めていた。

そして、周囲からは野生の魔物達が此方へ向かって来ているのが確認できた。

おかしな事態に対応が遅れる。

それを嘲笑うかのように、捕まっていた瀬那の魔法装甲は地面に叩きつけられる。

何処か破損したのか、動けなくなっている様だった。



綺『瀬那ちゃん!』



魔獣が振り上げた腕は瀬那の魔法装甲を潰す為、今まさに降ろされていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る