第3話 頼み事
瀬那は琳と綺に錬の両親へ届け物をして欲しいと頼まれて錬の実家がある東北へ来ていた。
瀬那「こんばんは!」
玲「いらっしゃい、瀬那ちゃん久しぶりね!さ、上がって」
瀬那「おじゃまします」
玲「おじゃましますじゃなくて、ただいまじゃないの?」
瀬那「た、ただいま…」
玲「おかえりなさい」
錬の家に入る瀬那。
家の中はいい匂いが充満している、どうやら晩御飯の支度をしていたようだ。
玲「瀬那ちゃん晩御飯は?」
瀬那「まだですね…。ごはん食べる前にあちら出てきましたので…」
玲「それじゃ、食べていきなさいよ!旦那も朱莉もキングもそろそろ帰ってくるだろうから皆で食べましょう?」
瀬那「でも…」
玲「遠慮しないの!」
瀬那「わかりました…それじゃ、いただいていきます。あっ、そうだ琳さんと綺さんからコレを…」
瀬那は2人から渡された箱を玲に渡す。
玲は中身を確認すると、少し泣きそうな顔になり箱を閉じる。
玲「瀬那ちゃん、朱莉が帰って来たらあなたから渡してあげて?」
瀬那「?…わかりました」
瀬那は2人と1匹が帰ってくる間、玲の手伝いをしていた。
しばらくして、全員が同時に帰宅する。
誠「ただいま〜」
朱莉「ただいま〜」
キング「ただいま戻った」
瀬那「おかえりなさい〜」
台所からひょっこり顔を出す瀬那。
朱莉「瀬那さん!」
瀬那「朱莉ちゃん!キャッ!」
朱莉は余りの嬉しさからか瀬那に飛びつき押し倒す。
顔をぐりぐり胸に押し付けて動くため凄くくすぐったく感じた。
誠「こらこら朱莉…困ってるから辞めなさい…。いらっしゃい瀬那ちゃん」
瀬那「お邪魔してます」
キング「雰囲気かわりましたな…」
玲「積もる話もあると思うけどあなた達、手洗いうがいしてご飯にするわよ!」
玲の一声で全員準備しテーブルへ座る。
久しぶりの一家団欒を楽しんだ瀬那は食後に朱莉へ届け物を渡した。
朱莉「えぇ〜、なんなんだろう?………にぃに…」
箱の中身を開け確認した朱莉は突然涙を流し始めた。
瀬那「あ、朱莉ちゃん?」
朱莉「瀬那さん…にぃにから…私にって…」
箱の中には見たことのあるアクセサリーと1つのメッセージカードが添えられていた。
“朱莉、誕生日おめでとう。もう少しで小学校高学年か…早いもんだな。中々一緒にいられずごめん。そうだ、キングにあんまり無理させないようにな。 錬より”
短いながら直筆の言葉が書かれていた。
朱莉「もう…にぃには…私来年は中学生だよ…」
瀬那「コレ…多分3年前に買ったんだね…」
誠「全く…あの馬鹿息子は…」
玲「あの子、瀬那ちゃんには何か送ってたのかい?」
瀬那「い、いえ!私は戦いが終わってからでいいって言ってましたから!」
玲「はぁ?それでいいって言っちゃったのかい?」
瀬那「は、はい…」
玲「馬鹿だねぇ…。貰えるもんはもらっておかないと…。瀬那ちゃん、あのね…」
瀬那「私は十分、錬さんからもらってます色々と!」
瀬那は玲の言葉を遮る。
彼女がどういう事を言うのかがわかっていたからだ。
瀬那「私、十分なんです。それに、彼に内緒で勝手に記入済みの婚姻届出しちゃいましたたし…」
玲「ぶっ!あははは!そうだったね!今は信条瀬那だったねぇ!」
瀬那「そうです!世界を救った英雄の奥さん…それだけで十分です!それを捨てるなんて出来ませんよ!」
玲「確かにね!これは参ったよ…。あの子が帰ってくるってこれからも信じて待つつもりなんだね?」
瀬那「はい!」
迷いなく答える瀬那に誠と玲は顔を見合わせて頷く。
誠「瀬那ちゃん、ちょっと待ってなさい…」
誠はリビングを出ると、階段を上がり2階へ上がって行った。少しすると小さな小箱を持ちやってくる。
それを瀬那に渡すと開けるように促した。
瀬那は小箱を開けると、そこには1つ宝石をあしらった指輪が入っていた。
瀬那「あ、あの…これは?」
誠「4年程前にアイツが俺たちに渡して行った物だ。もしも、俺に何かあった時に…彼女の気持ちが変わっていない様なら渡して欲しいとな」
瀬那「錬さんの…バカ…」
玲「そうだね…本当馬鹿だと思うよ。ごめんね…あなたの気持ちを確かめさせるような事を言って…」
瀬那「いえ…」
涙を流す、2人を玲は優しく抱きしめる。
玲「全く!こんないい女を泣かせるなんて、あの子が帰ってきたら一発引っ叩かないと気が済まないねぇ!」
そう言う玲に瀬那はクスリと笑う。
彼が帰ってくると大変だなとこの時彼女は思ったのだった。
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