モブ転生:どう考えてもモブでしかない僕が原因で世界が滅亡寸前なのは間違っているだろ~しかも原因はメインヒロイン達に言い寄られているせいらしい

灰灰灰(カイケ・ハイ)※旧ザキ、ユウ

第1話 何もかも間違った状況


 本日は晴天なり本日は晴天なり。


 の屋上。僕、モブ・モブリオンはそこで機嫌良く寝転がっていた。

 辺りを優しく通り抜ける風が大変素晴らしく、こんな日は陽気に包まれた屋上でうたた寝をするに限る。


「おーい!」


 そんな至福を味わう中、僕の平穏をぶち壊す桃色の悪魔が無慈悲かつ無邪気にも登場した。

 とはいえ彼女に悪意もなければ自覚すらない


 散々な言い方をしたが、彼女に落ち度なんてものは何一つないのだ。

 悪いのは僕と彼女の関係性。

 僕はとあるゲームの世界に転生したモブであり、そして彼女はこの世界に置ける主要人物。しかも驚くことなかれ。彼女、リッカ・ソレイユはそのゲームのメインヒロインというね。しかもスタイルも良い。モブが関わっていい存在じゃねぇ。


「あ、また不機嫌そうな顔。そんな顔ずっとしてると神様が怒って隕石とかで世界が滅んじゃうぞ~」


 彼女は僕の顔を見て何が面白いのかケラケラと笑った。失礼な奴だな。だけどまぁそれ笑えないんだよなぁ。

 流石に隕石とかは降ってこないが、世界が滅びかけているのは本気マジだ。本当にヤバイ。マジでヤバイ。


『アぁaアァ%qh亜アァ……』


 その証拠にほら。屋上から見える地上の光景は筆舌に尽くしがたい。何故か不死人ゾンビで溢れ返していた。どうしてこうなった。

 まぁそんなわけでたった今、世界が滅びかけているわけだ。


「わ、また迷宮から魔物が出たのかな。最近多いよね」


 リッカは目の前で起きている騒動がまるで日常茶飯事であるかのように嘆息した。彼女はいつも通りの大した出来事ではないと思っているようだ。


「わ、じゃないんだが。え、ていうかなんでここにいるの? 熱血君は?」

「えっと……なんか迷宮に潜ったっぽい?」


 なんで疑問系なんだろうか。でもそれじゃ不味いんだよなぁ。非常に不味い。

 今現在起きている騒動はゲームにおけるサブイベントであり、本来であれば主人公とメインヒロインであるリッカが解決するはずだったものだ。しかし、その当の彼女は何故か主人公ではなく僕の隣にいるという。本当になんでだろうね。僕は単なるモブなはずなのにおかしいじゃありませんか。間違っているよ。


『我、死を超越せし者なり。これより世界を我が眷属で満してやろうぞ』


 あぁヤバい。一際大きい不死者が出現し、なんかそれっぽいことを言い始めてるじゃん。不死者の頂点、不死王ノーライフキングだ。ちなみにゲームだとこの不死王を主人公が倒せない場合、瞬く間に感染が拡大して不死者ゾンビで世界が覆いつくされてバッドエンドとなる。


「どうしたの? いつもにまして暗い顔をして。なんか大変そうだねぇ」


 ほんとそれな。君のせいで本当に大変なんですけど。

 本来であればこの事件を解決するはずの主人公様の姿はどこにも見当たらない。流石に死んではいないだろうけど、迷宮の奥で不死王にのされたか、はたまた不死者ゾンビ達の波に飲まれてしまったか。どの道、彼に期待することは出来なさそうだ。


「あぁ嫌だなぁ、お家に帰りたいなぁ。それで一年ぐらい引きこもりたいなぁ。でもやるしかないか」

「ほぇ?」


 リッカの間抜けな声を無視して屋上から自由を求めて空へと羽ばたいた。自殺じゃないので悪しからず。

 そして不死王の目の前に着地。もちろんスーパーヒーロー着地だ。


『……なんだ貴様は?』

「ふっ、通りすがりのクソ効率の悪いデバフを極めたモブさ」


 ヤケクソになった僕は不死王に向けてそうドヤ顔でかましてやるのだった。





◆第一話、いかがだったでしょうか。


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