自覚していない
昨日は一体なんだったのかと、逆に戸惑ってしまうぐらい午前中の勉強はなにも起こらず、集中してできた。
「今日は何時に帰る?」
「夕方には帰ろっかなと」
「じゃあ夕食は無しね」
「えー……」
「どうしたの?」
なぜか困った感を出す
「いや、やっぱ食べて帰ろっかな……?」
「そう、分かったわ」
紗里の返事を聞いて、ホッとした息を吐く若菜である。
(あんな悲しそうな顔されたら帰るに帰れないよね)
紗里は自覚していないが、若菜が夕方に帰ると言った時の顔が今にも泣き出しそうな顔だったのだ。そして夕食を食べて帰ると言い換えた時は満面の笑みを浮かべていた。
「夕食の材料を買いに行かないといけないわね」
「あれ? 昨日買わなかった?」
「買っていないのよ。まあ、少しなら余っているけれど」
「じゃあ余ってる物食べようよ!」
「……若菜はそれでいいの?」
「うん」
「分かったわ。なら、ある物で済ませるわね」
夕食はある物で済ませると決めた。そして今から昼食、ということで、いくつか材料を残しておこうと決める紗里である。
そんな紗里の表情を知っているのは若菜だけである。
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