コレハユメ

 ほぼ意識を失う形で入眠したせいか、紗里さりは変な時間で目が覚めた。もう深夜でもないし、朝でもない。平日でも、二度寝はできる時間だ。


(布団……? 若菜わかなが運んでくれたのね…………。ということは、若菜はソファで寝ている⁉ そういえば布団も出していないし、この時期は冷えるのよ⁉)


 自身の状況を把握した紗里は、恐らくソファで寒い思いをしている若菜の元へ急ごうとして――。


(それにしても布団がやけに暖かいわね――                                                       )


 本当の自身の状況を把握してしまい、頭が真っ白になってしまった。


 眼鏡をかけていれば間違いなく割れてしまっていただろう。よく見えていないということも含め、どうにか助かった。


 とりあえず紗里はトイレに行き、そして水を一口飲んで戻って来た。


 再び布団に入り、先程と同じ体勢を取る。


「コレハユメ」


 夢では無いことは明白なのだが、辛うじてそう自分に言い聞かせ、再び意識を失うのだった。

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