涼香の誕生日会にて 14

「三年生全体パーティー――じゃなくて、涼香りょうかの誕生日会もあとはプレゼント渡すだけ! 主役の涼香さん、今日の感想をどうぞ」


 若菜わかなの持つマイクが涼香に向けられる。


 流しそうめんを片付け終え、しばらく自由時間を入れて今に至る。


「楽しかったわ。みんな、本当にありがとう」


 端的に感謝を伝える姿、その美しさに、涼香の本性を知っている同級生が見惚れる。


 みんなの一番最初に見た涼香の姿、三日で無くなってしまった涼香の姿が、そこにはあった。――装備は相変わらずだが。


「さあ! プレゼントを渡しなさい‼」


 じんわりとした空気を自ら壊しにかかる涼香。若菜にマイクを返して主役席に戻る。


「早く渡しなさい! さあ早く! 遅いわよ!」


 ご飯を待ちきれない子供のように、机をべしべし叩く。いつも通りの涼香の行動に一同は呆れ返る。


「五班、プレゼント用意」

「あら、こんな所に最高のプレゼントがあるではなの!」


 隣に座る涼音を抱き締めている涼香を気にせず、五班が教室から出ていく。プレゼントは別室に用意しているのだ。

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