夢の中にて 11

「あら、今日の夢は冬なのね」


 夢の中にて、涼香りょうかは吐く息が白いことから、季節は冬だと判断した。


 今日の舞台は冬の学校。誰もいないから冬休みだろうか。


 自席に座って少し考える涼香。恐らく涼音すずねは間も無く登場するだろう。


 廊下の方を眺めていると、そ~っと教室を覗き込む涼音と目が合った。


「涼香ちゃん……寒い……」

「来なさい‼」


 冬の寒さに肩を震わせている涼音を温めてあげようと手を広げる。


「やっぱり行くわ!」


 涼音がやってくるのを待ちきれない涼香が涼音を温めに行く。


「涼香ちゃん暖かい……」


 目を細める涼音の頭を撫でる涼香。


 冬の学校ということもあり、二人はセーターにブレザーも着ている。完全な冬の装いだ。


「陽の当たる場所へ行きましょうか」


 涼音を抱きしめたまま、撫でるような声を出す。その心地良さに瞼が落ちてきた涼音が、ゆっくりと頷く。


 涼香は涼音を支えながら、教室内の日が当たる席へ移動する。


 心地よい温もりが、二人の冷えた体を温める。


 やがてジリジリと焼ける感覚がして、さっきまでとは反対に暑くなってきた。


「なるほど、そうくるのね」


 なにか納得している涼香を、涙目になった涼音が見上げる。


「涼香ちゃん暑い……」

「そうね、服を脱ぎましょうか」


 そう言ってブレザーとセーターを脱がしてあげ、長袖のブラウスの袖を捲ってあげる。


「どうかしら?」

「涼しくなったよ。涼香ちゃんも脱がしてあげるね」

「それは嬉しいわね」


 お返しにと、服を脱がしてくれる涼音に微笑み返す――。



「……暑いではないの」


 目が覚めた涼香は窓から差し込む真夏の日光を恨めしそうに見る。


 隣で眠る涼音はお腹を出して眠っていた。


「夏だからと言っても、お腹を出して寝ると風邪をひくわよ。……多分」


 涼香はカーテンをしっかりと閉めて遮光する。そして涼音のお腹を服を引っ張って隠してあげると、再び眠りにつくのだった。

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