盆休みにて 8
「ところで先輩、帰省ってあたしらなにすればいいんですかね?」
『おじいちゃんおばあちゃんに元気な顔を見せることではないの?』
「それだけでいいんですか?」
『あら、なにかしてあげたいのかしら? いい子ね。
「いやそういう訳じゃないんですけど」
『なにもしなかったの?』
「父さんと一緒に高い所にある物を降ろしたりしましたけど」
『偉いわ! 涼音はいい子ね!』
「まあ困ってるなら助けないとですし」
『素直な涼音も可愛いわ! 同級生にもそれだけ素直だったらいいのに』
「同級生は関係ないですよね。別にどうでもいいですから、同級生なんて」
『勿体ないわ。涼音の可愛さを全校生徒に知ってもらわなければいけないというのに。勿論その後は世界を目指すわよ』
「はいはい、もうどうでもいいですから。先輩の妄言は」
『私は本気よ』
「じゃあやめてくださいよ。先輩だって嫌ですよね? 嫌だと言っているのに無理矢理自分のことを決められたら」
『それは……そうね……』
「あたしは、先輩といられるのならそれでいいですから」
『それは私も同じよ。でもね……まあ、それはいいかしら』
「なんですか」
『私は学んだのよ‼』
「流石先輩、勉強してるだけのことはありますね」
『天才だから仕方ないのよ』
「はいはい。……ねえ、先輩」
『どうしたの?』
「……眠たくなってきました」
『そうなの、おやすみなさい』
「はい……おやすみなさい……」
『子――』
通話を終了した涼音であった。
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